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第50話 アンガーマネージメント

 店を出ても奴らが後を付いてくる。 「おーい、ホモのカップル! どっちが入れられる方だ? 2人ともオカマみたいだな。」  整ったイケメンは奴らにはオカマ認定なのか? 脳のキャパが足りない輩だ。  ずっと石を蹴りながら付いてくる。蹴った石が佳純のジーパンの裾に軽く当たった。  電光石火、キシはそいつを掴んで締め上げた。 「うげっ!」  顔が青くなって赤くなった。殺してしまう⁈ 「キシ、殺ったらヤバイよ。 溶かしてアスファルトにするのか?」  佳純が恐ろしい事を平気で言った。キシはそいつを掴み上げて放り投げた。すごい腕の力だ。 「調子に乗るなよ。誰にケンカ売ってんだ? 死体の始末は慣れてんだよ。 何人殺ってもらいたい?」  こんな顔のキシを見たのは初めてだった。 (この腕力でボディガードに抜擢されたんだな。)  佳純は妙に納得した。それにしてもこんなキシはセクシーだ。 「キシ、殺すな、面倒だ。」  パッと手を離した。 他の仲間がゾロゾロ出て来た。ダサい事に手にナイフを持っている。  切れ味の良さそうなジャックナイフと、後はバタフライナイフ。  広げて刃をこっちに向けて来た。慌てたのかキチンと刃を出し切っていない。握った手を上から押さえつけ、ナイフが指をまとめて畳まってしまった。握手するようにキシがその手ごと掴む。  折り畳まったナイフに自分の指が見事に挟まった。数本の指が飛んだ。残った指が半分繋がってぶら下がる。半グレは泣きそうになっている。 「ナイフはキチンと刃を最後まで広げきらないと こうなるよ。使った事無いのかな?  急いで指拾って医者に行け。繋がるかもしれないよ。」  威勢のいいロン毛野郎が飛びかかって来た。佳純が足をかけて転ばす。キシが胸ぐらを掴んで投げ飛ばす。 「これ以上怪我人が出ないうちに止めろよ。」  半グレたちが捨てゼリフを残して逃げて行った。 「キシ、さすがボディガードだね。」 「アンガーマネージメントを受けたのに、 すぐに頭に血が上る。申し訳ない。  どこかで食事でもして帰ろうか。」 優しくハグしてくれた。キシの手を取った。拳に少し血が滲んでいる。 「キシも手当が必要だね。」  顔を見られてキスされた。今日は何回キスしただろう。全部触れる感じの軽いやつだけど。

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