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第51話 バングル
佳純が見慣れないバングルを手首につけて来た。嬉しそうに見せてくる。
「どうしたんだよ、それ。」
「へへへ、キシとお揃い!」
「キシってあのボディガードの1人だね。」
(ああ、佳純がずっと心に秘めて来た人だ。
何か進展があったのか?
まさか、とうとう結ばれたとか?)
「佳央の思うような事はねえよ。
今、想像したでしょ。」
「べ、別に。」
「ドライブしたんだ。
やっぱ、デートは車、必要だな。」
「どこまでいったんだ?」
「富士山の近くまで。」
「違うよ、告ったのか?」
「いや、友情って事にされた。
これに友情の証を彫ってもらっただけ。」
キシって人は案外、紳士なんだな。佳純の気持ちをどう思ってるんだろう?
「いいなあ、佳純はリア充なんだ。」
「うん、キシはすごくカッコいいんだよ。
ケンカも強いんだ。」
「ケンカになったりしたの?」
「変な地元のヤンキーみたいなのに絡まれた。
オカマとか言われたんだ。」
そいつは自分のナイフで指、切っちゃったんだ、と笑って言ってる。
刃傷沙汰とは驚いた。
「大丈夫なのか?
被害届とか出されたら、警察も捜査しなくちゃならないだろ?」
「ああ、そうなったら面白いね。
こっちはそう言うのプロだぜ。」
ヤクザ怖えーって思った。
「キシってバイク乗りなんだよ。
こんどツーリング行くって約束したんだ。」
「あー、ハイハイ。良かったね。」
佳純の頭の中はお花畑だ。ピンクの花が咲き乱れているだろう。
「マコちんはなんて言ってるの?」
「ヤキモチ妬くから言ってないよ。」
「ひどいな。可哀想だ。」
誠が知ったら悲しむだろう。誠は佳純のキスを真剣に受け止めている。いつも都合のいいペットではないのだ。
俺には関係ないのに何だか誠の肩を持ってしまう。あの気のいい純情な誠を泣かせたらいけない、と思うのだ。
「佳純、人の心も分かってやれよ。」
佳純は考え込んで、
「うん,俺が利用した,って事になるのか。
マコにキスして悪い事したかな。」
そんなにキシがいいのか?
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