59 / 65

第59話 意外だ

 組長、佳純の父親はホモ嫌いだった。周りにゲイが多いのは気にしない。ただ、自分の息子が同性愛者なのは絶対に許せないという。  俺の家に佳純が来た。色々あったと事情を聞く。 「なるほど。俺はゲイに偏見はないけどな。 佳純だったらいつでもオーケーだよ。」 「えっ?」  うっかり本音を告ってしまった。 「佳央、俺の事,好きだったの? 恋愛感情?友情?」 「今のは言葉のあや。」  等身大のカンバスを見て 「これ、すげえな。」 今描きかけの渾身の作だ。半裸の佳純を描いている。腰のタトゥーまで。俺は全部は見ていない。  想像しただけだった。  (俺のダヴィデ。永遠のダヴィデ。俺だけの。)  佳純がスラリとシャツを脱ぎ捨てた。 「綺麗だ。」  思わず何枚も写メを撮った。 「俺、脱いでもいいぜ。 写メより実物の方がいいだろ。」  佳純をモデルにして描きたい。 見事な身体が目の前にある。描きかけのカンバスに木炭を滑らせる。 「今時、ローテクな描き方だろ?」  一心不乱に描き進めた。 「ふうっ、佳純休もう。疲れたろ。  あとは一人でも描ける。」 「うん、帰るよ。キシと飯食うから。」 「はは、主婦の会話。」 「何で俺たちは早く大人になれないんだろうな。 大人になって、誰にも文句言われないようになりてえ。」 「キシさんはおとなだろ。」 「ヤクザなんて窮屈なだけだ。 守らなくちゃならない掟が多すぎるんだ。 ヤクザなんてなくなってしまえばいいのに。」 (ああ、確かに決め事が多いんだろうな。)  次の日、学校では動画が話題になっていた。 「こいつ、隣の工業高校の奴だよ。」 「酷えな。」 ーーごめんなさい、ごめんなさい。 必死に懇願している生徒を容赦なく殴っている。 ガタイのいい生徒でかなり殴り慣れている。  一方的に殴る姿に、見ていて気持ちが悪いーー 「なんだよ、この動画。」 「イジメだって?これは暴力だ。犯罪だよ。」 「こいつ、捕まえて締めねえと。」 誰かがガタイのいい奴を指差した。

ともだちにシェアしよう!