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第70話 S工業
「奴らはラフプレイが得意だって。
ケガさせられないように気をつけて。」
寄せ集めのチームで戦えるのか?
ボロ勝ちして、再起不能にさせてやりたい、とみんな期待していた。
キシたちがスカウトして来たメンバーは、ヤサグレたはみ出しものか、と思ったが本気でサッカー好きな奴らだった。
「どこで見つけて来たんだよ。
みんなすごく上手い。仕上がってる。」
以前、ジュニアユースチームを大量にクビになった事件があったでしょ。タバコとケンカで。
その時,クビになった選手を見つけ出したんですよ。若のいたジュニアユースチームから、調べて。」
「俺は,家が反社だから自主的に辞めてくれ、って言われたけどな。」
「その後ですよ。みんな血の気の多い奴で。
小学生の頃から突出したサッカーセンスで入団した者達ですから、超上手いですよ。」
「それで何人か、顔見知りだったんだ。年が同じだし。」
誠の親が裏から手を回してくれたそうだ。金の力か?
こんな草サッカーに大金をかけてくれて申し訳ない。チームらしくなって来た。
キシたちが監督に話を通した。
「くれぐれも暴力はダメだ。正々堂々と戦え!
バックに極道がついてる、なんて言われないように、な。」
みんなマジになっている。
「これなら高校総体にも出られるよ。」
スタメンを外れた部員も全員出られるように、交代人数を増やしてもらった。公式戦ではないから融通が利く。
誠の父親が新しいユニフォームを作ってくれた。
試合当日。
「青春してるねぇ。」
ヤマ、キム、キシたちが来ている。
キシが頭を撫でて、背中を叩いてくれた。
S工業のチームがやって来た。
県大会の常連で専用バスを持っている。
近くの工業団地の経営者の息子たちだ。
金をかけている。みんなピカピカの設え。
S工業の選手たちは面構えが違う。狂犬のようだ。
JKのギャラリーが出来ている。
「秋川クーン、花田クーンっ!」
黄色い声が飛ぶ。酷いフリ方をしてから佳純のファンは減った。
誠が車椅子でやって来た。
ピッチは荒れているがグランド整備をしてあるので少しはマシだ。
誠の親が芝を植えよう、と言ってくれたが、当然間に合わなかった。
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