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第71話 試合開始

 主審は、監督の知り合いの往年のサッカー選手、川上さんが来てくれた。 「俺もまだまだ走れるよ。 ウチの現役を線審に連れて来たからね。」  フェアなレフェリーで良かった。 みんな整列して握手を交わす。工業のチームは睨みつけてくる。フォワードにあの今関がいた。  みんな横並びで目で合図している。 (気を付けろ!ケガさせられないように。)  ピィーッ! ホイッスルが試合開始を告げた。ベンチにも数人の控え選手がいる。心強い。  先攻、秋川のキックオフ。花田にパスしながら上がって行く。相手のフォワードが突っ込んで来る。敵のディフェンダーは動かない。 「なんだよ、これ?」  オフサイドトラップか、と思いきや、脚を引っ掛けられた。転倒。  脛を蹴られて脛当てが割れた。 「痛え!何すんだよ!」  秋川が足を引きずってこっちを見る。 「あの野郎!」  キシたちが立ち上がる。 「わざと脛ばかり当ててくる。  秋川、大丈夫か?」  女子たちがキャアキャア言っている。 「レッドカードだよ!」  主審は気付かない。線審は見ていたはずなのに旗が上がらない。 「汚ねぇな。」  また、接触した。腕を掴んで引いて離した。 花田がバランスを崩して倒れ掛かる。  ピィーッ!主審がホイッスルを吹いた。  でも、イエローカードだ。注意喚起で終わる。 なんだか、相手は流して走ってる。力を抜いて。 全力を出していない。  ゴール前にボールが出た。競り合ってヘッドの応酬だ。競る時に微妙に脇を攻めてくる。脇腹の柔らかい所に固いスパイクが当たる。  腹を抱えて蹲る。普通じゃない。 「何やったんだよ、危ねえな。」 林田が苦しそうだ。接近戦では見えない所に当たってダメージを与える。  練習試合だから30分ハーフだが、長く感じる。 負傷者続出だ。脚を蹴られて走れなくなっている。ボールが出た。ドリブルでゴール前まで持って行く。相手はオフサイド狙いだからパスが出せない。 花田のドリブルで突破した。 ゴール前でシュート! 「キーパーチャージ!」 「触ってないよ!」 、

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