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第73話 試合終了?

 試合が終わった。キシは怒っている。 怒りを抑えているキシは素敵だ。こんな時に素敵だ、と思う佳純はどうかしている。それでも、走って行って抱きついて甘えたい。 (俺だけのキシ。)  みんなが待っている。みんな悔しさでワナワナ震えている。  キシに手を握ってもらう。 「よく、我慢したな。」  涙が零れそうな佳純が 「今日はキシの所へ帰っても、いい?」  みんな満身創痍だった。キーパーの河合はもう立ち上がれないほど、マジの蹴りを入れられた。  川上さんは帰り際、 「こんな野蛮なのはサッカーじゃない。 協会に報告しておくから。シードなんてもってのほかだ。」  S工業の奴らは初めから佳純たちを潰す気だった。スパイクのつま先に鉛を仕込んだり、金属製のスパイク鋲を取り付けたり、禁止されている事をやっていた。  巧妙な違法行為。 「若はひとまず、家にお帰りください。 お送りしますよ。」  佳純はガッカリして 「わかったよ。みんなで帰るから送らなくていいよ。明日はキシの所に行ってもいい?」 「はい、お迎えに参ります。」  用事がある、とヤマとキムと一緒にキシは帰って行った。  キシたちはS工業にいた。 「やあ、試合ご苦労さん。 ちょっと顔、貸してくれ。」  S工業の奴らは怪訝な顔をしている。 体育館に集合していた所だった。  校長も来ていた。簡単に勝つと思っていたらしい。祝勝会の用意が出来ていた。 「後援会長も来て頂いたのに負けたのか?」  パーティの料理が並んでいた。 「残念だったな。 相手はずいぶんケガしたようで、まあ、良かった。こっちの被害は少ないんだね。  ひとつ、用意した料理を食べてくれ。」  後援会長は今関の父親だった。相手にケガさせた事を褒めている。とんでもない外道ジジィだ。  キシたちに気付いて 「何で、あんた達がここにいるんだ?」

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