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第99話 ブルース
「俺たちってどんなふうに見えるのかな?」
「恋人に見えるといいな。
さっきのお店の娘、ビックリしてたね。」
「佳純は見せたいのかい?」
「うん、偏見があるのはわかるよ。
それでも、キシにくっついてイチャイチャしたい。」
「はは、可愛いな。
そんなにデカくて男らしいのに。
恋人が男でいいのかな?」
女の子が放って置かないのを知っている。
身体は男らしく筋肉がついているのに、甘えて来る佳純が愛しくてならない。
「今日もキシの所に泊まっていい?」
「ああ、そのつもりだよ。
佳純のパジャマを買ったんだ。」
「えーっ? すぐ脱がされるのに?」
古いブルースを英語で歌ってくれた。
「なんか、楽器はやらないの?」
「前にギターとか触った事はあるよ。
ガキの頃だ。中坊の。」
「ふーん、なんかいいね。聞いてみたいよ。」
全然だ、と笑った。大人の顔。
キシはカラオケとかじゃない気がする。
間違った所に来ちゃった。
佳純は、今度ジローが働いているピアノカフェに誘おうと思った。
「俺、早く大人になりたいよ。
キシと酒飲みたい。」
「そうだな、でもそんなに急いで大人になるなよ。今の佳純が大事なんだ。」
赤くなるような事を言う。
カラオケ屋を出るとチンピラに囲まれた。
「なんだ、おまえら。」
「どうも。上田組のキシさんで?」
M会の若いもんだと言う。
「この前はずいぶんウチのが舐められて。
エンコ飛ばされたんで、どうしようか、と思ってました。」
チンピラは4人。
「ここでやるの? やめなよ。
みっともないからさ。」
「なんだとぉ!」
相手が胸ぐらを掴んできた。
「佳純は気をつけて。離れてな。」
「あっ!えっ?」
一人,地面に叩きつけられた。一瞬でもう一人が足を払われてすっ転んだ。
後ろにいたもう一人も一緒に転がっている。
もう一人が出遅れてキシのカウンターをモロに受けた。
あっという間に4人が転がっている。
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