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第102話 ホスト ②

「いらっしゃいませ。」  派手な女性が入って来た。バーキンを無造作にぶら下げて、ジミーチュウのピンヒールを蹴り出して、席に着く。 「あなた、名前は?」 「ヤマです。」 「そう、ヤマ君、あなたを指名するわ。 お友達も呼んだら?」 名刺をくれた。 『フローラルグループ』 代表 花田美鈴、と書いてある。 「都心でキャバを五軒ほどやっているのよ。 今日は息抜き。都会はうるさいから、今日はここまで来たの。 アルマンド持って来て。」  キシも場内指名に入れてくれた。 売り上げの上がるシャンパンのオーダーだ。 「お客様、ありがとうございます。」 コールがうるさい。 「ハーイ、アルマンド卸しました。 ありがとうございます! みんないっしょにカンパーイ! 飲んで飲んで飲んで!」  みんなで乾杯するならダースで持って来て、と言われてヤマは焦った。500万を超えるだろう。  本当ならカードを預かるところだ。 「私の事は美鈴、と呼んで。 これを支配人に渡して。」  こちらから言う前にプラチナカードを渡された。 「お預かりします。」  失礼だが支配人が奥でカード情報を調べるのだ。高額の客には必ずやる事だ。  うやうやしくカードを持って戻って来た。 サインをもらう。 「一見だから怪しんだかしら。」 「いえ、とんでもない。大変失礼しました。」  支配人は平身低頭だった。 「あの、『フローラルグループ』の花田社長! 本日はありがとうございました。」  その日はおとなしいものだった。それから毎日美鈴は通って来た。  仲がいい、ヤマとキシとキムはいつも一緒に指名をもらった。  売り上げは信じられないほど上がった。 「面倒だから月末に纏めて。」 美鈴さんの売掛が始まった。月末には恐ろしい金額になっていた。  美鈴さんはヤマたちに何も見返りは要求しなかった。 「なんでこんなに俺たちに金、使ってくれるんだろう?」  初めて夜の付き合いに誘われた。

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