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第107話 大人の顔

 キシがネクタイを結んでいる。その横顔が大人だ。他人の顔。  佳純はベッドから起き出して名前を呼んでみる。 「キシ・・」 「ああ、起きたか。なんだか疲れてたろ。」  肩に抱きついて 「キシが離してくれなかったんだろ。」 頭を撫でられて抱きしめられた。 「キシ、俺の知らない顔してた。 大人の顔?ホストの顔?」  そんな顔ってどんな? 鏡を覗き込む。 その横顔が他人に見える。  かっこいい人。どこから見ても素敵だ。 喜んじゃうから言ってやらない。 「どうした?もう終わりか?」  その言い方がセクシーで困る、と佳純はいつも思う。ソファに倒れ込んで抱き合う。 「シャツが皺になるよ。」  抱き起こされて見つめ合う。笑いながら頭を抱えてキス。 「佳純も服を着ろ。」 「また、欲しくなっちゃう?」 「ああ、我慢できなくなるよ。」 「今日は学校に行かなくちゃ。 部活に顔を出す。」 「サッカーか?」 「ううん、軽音。」  キシの部屋に置きっぱなしの制服を着る。 「夜、また,来てもいい?」 「ああ、学校に迎えに行くよ。」 「何時になるからわからないから連絡するよ。」 「気を付けろ!おかしい奴らがいるからな。」 「うん、わかった。」、  久しぶりの感じがする学校だった。 「うーすっ、やっと授業が終わった。 ダリィ、」  軽音の部室に行った。 「おうっ久しぶりだな。 ボイトレしてっか?」  部室には蓮華坐のみんなが来ていた。 「みんなお揃いで、やる気満々だな。」 「ねえ、あのメガフェスをプロデュースしたジャポニカ・デリコが日本にいるってよ。」 「デリコってあのオーガナイザーの?」 「そ、インフルエンサーとも言える。」 「デリコが新人探してるって。 手垢のついていないとびきりのスターをさがしてるって。」 「おもしれえな。」

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