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第112話 熟睡
「ああ、よく眠った。
キシに抱かれてるとよく眠れる。」
裸で抱き合って眠るのが気持ちいい。背中の唐獅子牡丹が素敵だ。腕枕して抱き寄せられた。
「俺も佳純がいるとよく眠れる。佳純の声がいい。抱いている時の掠れた声がたまらないよ。」
不安そうで落ち着かない佳純を抱きしめて
「きっと、フェスは上手くいくよ。
その声が好きだ。」
「俺はキシの声が好き。キスして。」
「黒川さんが張り切ってるんだ。
こう言う仕事がしたかったんだって。
ヤマとキムも楽しそうだ。ヤクザな仕事じゃないのがいいな。」
それでもデリコが日本で何かやる、と週刊誌がすっぱ抜いて、おかしくなって来た。派手な見かけない連中が続々とやって来る。
あの花田美鈴が、出て来た。芸能界にも顔が利く、と自慢している。
あんな非合法なショーをやっているのを警察は知らないのか?
どこでかぎつけて来たのか『花束』にやって来た。『ナイトメア』に来た時と同じように高いシャンパンを注文する。
ヤマが黒川に耳打ちした。
「指名された女の子に売掛を背負わせないで。
一見の客は売掛できない、と断って。」
同じ事が起きないように。
美鈴のやり方は、金で縛って、最後は身体だ。
それもおぞましい事に、臓器とか身体のパーツだ。
「日本でそんな事出来ないでしょ?
警察はどうなってる?」
「反社がケツ持ち、やってる店を狙うんですよ。
バックに反社がいると警察は動いてくれません。」
黒川は、渋い顔をしている。フェスの準備で頭はいっぱいなのだ。
フローラルグループが地元の商店会に太い協賛金を出したそうだ。金でその場を牛耳る。
町も滅多にないイベントに期待している。
男が黒川に接近して来た。『花束』の客だ。
名刺を出す。
ー生田芸能 代表 生田藤次郎ー
たいそうな名前だ。
「カラオケがあるんだな。
一曲歌いたい。」
いきなり変な客だ。
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