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第113話 宣伝

 フェスが近づいて町が賑わって来た。至る所にポスターが貼られている。 「なんだか、見かけない派手な、人たちが増えた気がするよ。」  S高でも、その話で持ちきりだった。 「ウチの軽音からも出るんだろ?」 「うん、いつも派手な格好で目立ってた奴等。 ちゃんとバンドになってんだよ。」 「モテたくてバンドやってるだけかと思ってたけどな。」  佳央は関係ないのに、ちょっと自慢したくなる。  帰りがけにあの谷田玲子が声をかけて来た。 JK数人と一緒にウチの高校の周りをゆっくり歩いている。向こうから手を振って来た。 「おっJK、遠藤,紹介してくれよ。知り合い?」 「ああ、中坊の時の。」  玲子が 「こんちは、遠藤佳央の友達です。」 「へえ、キミらもバンド見に来たの?」 「そう、中々人気あるんで。 ウチの高校にもファンがたくさんいるよ。」 「もしかして谷田の高校って、怪我した女子がいるんじゃねえの?」 「ああ、指を潰された娘が3人いるよ。 大問題になったのに警察には届けなかったって。」  一緒に来ていたJKが 「あの子たち、前から問題あったから。 中の一人が子供いるんだよ、高3で。」  佳央は、佳純から聞いていた話が繋がったのを知る。玲子が 「あの娘たち、一人はヤクザと付き合ってて、子供までいるって。みんな恐れて近づかない。」 「でも両手使えなくて大丈夫なのか?」  義手を付けているらしい。 「そんな事があっても、卒業するんだって。」  佳央は多少事情を知っている。ヤクザの報復はハンパない、と思った。  佳純の身を置いている世界。 「ねえねえ、バンドのボーカルの子、お腹にタトゥーを入れてるって?  かっこいいんだってね。」 「俺と同じクラスだよ。まだ、2年。 ま、友達だ。いや、マブダチだな。」  谷田玲子が 「遠藤の絵、県展で入賞したんでしょ。 あのボーカルの子を描いたって?」  ヌードだった事が彼女たちの好奇心を、駆り立てているらしい。カバンの中の在庫のCDを彼女たちにあげた。 「わあ、このジャケット、遠藤の絵だね。 カッコいい!実物に会いたい!」 「そのうち来るよ。一緒に帰るから。」   校門のそばでキャアキャア騒がれて悪目立ちしてしまった。

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