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第114話 前評判

 あの芸能プロダクション生田芸能、の社長は今売り出し中の歌手のCDを持ってきた。社長自身も元歌手でカラオケで歌うのが抜群に上手かった。  佳純がキシと一緒に店に来た。深夜にバンドの練習をする。今は『花束』営業中だ。  まだ空いている店内でキシが 「あの生田さん、歌、めっちゃ上手いな。 世の中には上手い人がいるもんだなぁ。」  佳純は芸能プロの社長だという生田の歌に感心している。  声高に、前評判の声が大きいフェスの話をしていた。 「自分にも売り出したい歌手がたくさんいる。 フェスでデリコの目に留らせたい。」 などと話している。  先ほどから奥の席を陣取っていた花田美鈴が生田の席にやって来た。 「どちらかの芸能プロの方ですか?」  生田芸能は業界ではあまり知られていない。 まあ、言えば三流だ。  差し出された『フローラルグループ』の名刺に生田は思い当たった。  すごい金をかけて、新人をC国やK国に売り出す会社だと噂がある。何が主な事業なのかわかりにくいが新人のプロデュースだろう、と思っていた。Jポップを世界に売り出す。  生田も兼ねてから、そのコネクションが欲しいと思っていた。 「六本木のタワーマンションに、スタジオを設けて新人のためのショーをやっていますの。  そのビデオを売り出したり。世界に発信していますのよ。」  生田は是非とも自分のプロダクションの新人を使ってもらいたい、と思った。 「おすすめの新人、いますか? この頃食傷気味なのよ。 ただイケメンなだけではダメ。」 「そうですねぇ。 今度、この町でフェスがあるそうですよ。 こんな田舎に世界的なインフルエンサーが目をつけたとかで。  それで私もここまで出張って来たんで。」  生田は六本木のタワマンにすっかり信用してしまった。 「新人を売り出したいのね。 フェスに出場する新人には私も興味がありますわ。」  生田は花田美鈴が何をして来たか、知らなさすぎた。    フェスの出場者の中に,胡散臭い輩が多い事に黒川は気が付かなかった。  イジメからあんな事件になった事の反省が生かされていなかった。

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