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第116話 三流芸能プロ
町はフェスの話で持ちきりだった。
見かけない若い奴がたくさん町をうろついている。M会のチンピラも我が物顔で街を闊歩している。
中山の腕にぶら下がるようにして歩いている、いずみと、他のチンピラにくっついて歩いているノアと美知。
「TikTokにアタシ達のダンス動画、流してるんだよ。誰か見つけてスカウトしてくれないかな?」
彼女たちは,ダンスが上手いわけでもない。
全て自己流。ダンスとも言えないものだった。
露出の多い衣装が目を引いただけだった。
たまたま彼女たちが、三流芸能プロの目に止まった。異質な義手のはまった手が異様で人目を引く。彼女たちの義手は外すとまだ手が残っている。指が数本潰されただけで、腕全体がダメなわけではない。
「いいね、いいね、その手も珍しい。」
踊りも歌も下手な、顔も大したことのない女子たちだった。
芸能プロの生田が目を付けたのは、すぐに身体を投げ出しそうな、すぐヤラせてくれそうな崩れた感じ、だった。
(この娘たちは使える。
なんなら、接待要員として、すぐやりたい客に売れる。)
繁華街をうろつく彼女たちは,まさに男漁りをしているように見えた。
イモくさいガキが引っ付いている。
俺の女、とひけらかすように、露出の多い服に手を突っ込んで、町のカフェで迷惑がられている。
「ねえ、アタシ、スカウトされた!」
名刺を渡されて興奮しているノアに
「なんだよ。男が付いてるのにナンパかよ。」
「違うよ、マサル。
アタシたちスカウトされたんだよ。」
中山マサルは父親がヤクザなのを傘に、威張り腐っているが、今関には頭が上がらない。
今関の狂気を恐れている。
もらった名刺には、生田芸能、と書いてある。
「マジか?本物のプロダクション?
でも、聞いた事ねえな。」
「フェスが終わったら、事務所に連絡くれって言われた。」
彼女たちは、フェスよりもっとすごい、芸能界に行けると思っている。
彼氏のマサルがノリノリで
「ダンスの練習しよう。
F市のストリップ劇場にすごい踊り子さんがいるんだって。見にいこうぜ。プロの技を。」
「えー?ストリップ?
裸じゃん。アタシたち裸は売らないよ。
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