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第117話 ミッドナイトフェス
フェスの日がやって来た。海岸の駐車場には、控え室になるトレーラーが数台集まって来た。
キッチンカーもたくさん出てお祭りムードが盛り上がっている。
デカいサウンドシステムが積み上げられて、
いい音を出している。
デリコのコネで事前に警察の許可も取ってある。一晩中、日が昇るまで、と言うのはこういうフェスでは異例の事だった。
デリコお気に入りのサウンドエンジニアの山神さんが現れた。リミッターをいじっている。
「ゲストはあの『凍てついた夜』だ。」
佳純はもう何も考えないようにした。
「俺、ボーカルの凍夜さんに会えるだけでいいや。」
みんなは割と落ち着いているようだ。
「なんてそんなに冷静なんだよ。」
見るとジローの足が震えている。
(みんな落ち着いているフリだけなんだな。)
佳純はもっと緊張してしまった。
メンバーが集まって来てトレーラーで音を出し始めた。ユキと京也はギターとベースをアンプに繋いだ。雅はドラムを組み立てている。ジローがキーボードの椅子に座って震えている。
佳純はマイクの調子を見た。握ってみる。
「ハーイ、どう、調子は?」
デリコが入って来た。今日もメイクが濃い。
ドラァグクイーンだ。
「もうダメだぁ。緊張で。」
「あら、佳純ちゃんの歌、楽しみにしてるわよ。」
キシが綺麗な女の人の肩を抱いて入って来た。後ろにピアスだらけのイカつい男が一緒だ。
デリコが抱きついてハグしている。
「飛鳥、来てくれたの?」
「涅槃寂静も、出るって言うから。」
佳純はキシの方を見た。
「キシ、友達?」
ピアスだらけの男が
「君らのバンドがデリコの今夜の一押しだって?」
「ラッパーチームの涅槃寂静って知ってる?
そこのボスだよ。」
「名前だけは聞いた事あります。
キシの知り合い?」
綺麗な人はボスの奥さんだと言った。
(なんでキシが肩を抱いてやって来るんだよ?)
「花園飛鳥さんよ。」
「ストリッパーの花園飛鳥です。」
「ストリッパーが何でキシの知り合いなの?」
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