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第119話 始まる
前日、男たちにあの天下劇場の評判を聞いて
ノア、美知、いずみの3人は、ストリップを見に行った。ガラの悪い集団でかぶりつきを占領して下卑たヤジを飛ばした。ガードマンにつまみ出された経緯がある。
あの飛鳥みたいな事をやれば、TikTokで再生回数が伸びると言われて、見に来たのだ。
まず、綺麗さが違いすぎる。そして心構えが違い過ぎる。
「もう、全裸に近い方が見てもらえるんじゃね?」
低脳の考える事だった。
「アタシ,全部見せてもいいよ。法律がウザいんだよ。SNSでバズるためなら何でもやるよ。」
それで今関に嵌められた事を忘れたのか?
亭主がヤクザだと怖いもの無しなのが、怖い。
生田芸能の社長は、この女の子たちをフローラルグループの花田美鈴に紹介しようと思っていた。こんなフェスより儲かりそうだ。
もうウンザリしていたのだ。売れない歌手のキャンペーンに付き合ってドサ回りの日々。
華やかな芸能界とは程遠い。金にもならない。
佳純たちの出番は割と早かった。売れていない高校生バンドは、早めの出番だった。
1グループ20分。午後1時から始まって20組目だった。タイムスケジュールでは午後8時20分ごろが出番だった。フェスは一晩中続くのだ。
聞いたことの無い歌謡曲歌手が出た。それでもCDを発売するくらいにはプロである歌手の皆さん。みんな実力はある。聴かせる上手い歌手たちだ。ジャンルはゴチャゴチャで、やはりJポップが人気だ。
蓮華坐の古いロックは、みんなの心を掴めるか?
時間通りには進まないから、待ち時間は正味15分ってところだろう。
「プログレには足りないな。」
壮大な物語のあるプログレッシブロック。
途中、ラップバトルが挟まれる。
涅槃寂静vs東京のラップチーム髑髏(どくろ)
これが目当てのヤンチャな奴らが集まって来た。前半の歌謡曲ムードから、Jポップ、そしてロック色が強くなる。佳純たちの出番が近い。
トリは『凍てついた夜』だ。凍夜のバンドは、バックでボカロの観音寺夢子が踊る。最前列で踊る夢子ファンのオタ芸集団も人気だ。
プロジェクターを映すための大きなスクリーンが作られる。夢子担当は北島くん。
「やっぱり、見せる演出がすごいね。
北島くんの技だな。」
ユーチューバー北島三郎の人気はすごい。あの演歌歌手の大御所と同姓同名なのだ。
デリコも注目している。
「やっぱり、他とは違う。興味深いバンドだ。」
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