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第121話 どうしたんだよ
「どうしたんだよ、佳純。
この世の終わりみたいに。」
出番が終わってメンバーに詰め寄られた。
「この前、聴いたのと雰囲気が違う。
曲は俺がつけたんだけど,ね。」
ユキが疑問をぶつけてくる。
「ごめん、この頃俺女々しくて。
ホントに女に生まれたかったよ。」
「今日の佳純は変だ。
こんな歌、すぐには作れないよ。
ずっと悩んでたんだな。」
フェスの評判はまあまあだった。女の子には共感してもらえた。
「もっと骨太の男っぽい歌もあるんだよ。」
佳央はキシを探しに行った。谷田玲子と上山春子がついて来た。
ラッパーたちの溜まりに涅槃寂静のボスはいたが、キシとあの花園飛鳥はいない。
佳央は嫌な予感がして、片っ端からトレーラーの扉を開けさせた。
一番端のトレーラーにキシと飛鳥がいた。
「キシさん、佳純が待ってます。」
奥のソファに裸の肩を見せて飛鳥がいた。
キシはスーツの上着を脱いでネクタイのままだった。ズボンの前が開いている。
「何やってんですか?」
「あ、ごめん。これはボス公認なんだよ。」
「あなた、失礼よ。早く出て行って。」
「キシさん帰りましょう。
こんな所でなにもできないでしょ。」
「ああ、今行くよ。佳純には私から話すから。」
「アタシたち、セックスする所だったのよ。
邪魔しないで。」
「ひどいな。佳純には話せない。」
佳央はショックを受けていた。この頃は、変な失恋の歌が多いと思ったら、こんな事になってたのか?
童貞の佳央には理解出来ない。
(キシさんはバイセクシャルなのか?
それでも、あの人は人妻だろう?)
佳央は飛鳥たちをよく知らない。
「常軌を逸した人たちだ。俺は嫌だな。
佳純を汚されたような気がする。」
佳純の元に戻って、今見た事は言えなかった。
「キシ、いた?」
「ううん、見つからなかった。
ラッパーの人たちしかいなかった。」
佳央はもう佳純の顔が見られなかった。
(佳純は純情な奴なんだ。意外と擦れていない。)
何とかしたいと思った。
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