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第122話 凍夜

 佳純はキシが気になりながらも『凍てついた夜』の演奏を見たかった。  バンドのメンバーも、佳央たちも、佳純のそばに来てくれた。みんなに支えられて、トリの演奏を堪能する事にした。  ステージの前にはオタ芸軍団が揃いのハッピで集まっている。  スクリーンには、観音寺夢子が踊っている。 AIも生成からフィジカルに変わって、より動きが自然になった。夢子は生きている。  二次元でもマジ惚れしている根強いファンはたくさんいて夢子は大人気だ。    スマートな凍夜がステージに出て来た。ダンサーとして将来が嘱望されていた凍夜は動きが綺麗だ。ドラムのキースがカッコいい。ベースのテツとギターのタカヨシの絡みが秀逸だ。  ピアノのジヌとミクオのキーボードで、鍵盤が二つ。いつもの合わせだ。  セクシーな凍夜の声に絡みつく切ないサックスの音。松ちゃんのサックスが色っぽい。  山神さんがリミッターをいじっていたのは音量をマックスにするためだった。  マックスでも,音が割れず、爆音の中でも旋律がキチンと聞こえる。ミキサーの腕だ。さすが山神さん。凍夜たちとは長い付き合いだ。  それにしても凍夜はすごいスタミナだ。何回もアンコールが掛かって惜しまれながらステージは終わった。  佳純は圧倒されて声が出ない。佳央も 「すげーな、佳純もカッコいいと思ったけど、凍夜さんがすごい!タフだ。」 「うん、競うのはおこがましいけど、、完全に負けだな。世界にはすごい奴がたくさんいるんだな。」  バックステージで凍夜が可愛い感じの男の人の肩を抱いて、こっちに来た。 「どうだった?俺の歌。」 「すごかったです。」 「あ、こいつはミコト。俺の嫁。 俺、ゲイなんだよ。」 「えっ?」  佳央が佳純を見た。 「俺もゲイなんです。」 「そう?お相手はここに来てないの?」 「はあ、、どこかにいるかも。」  佳央は慌てた。女の人とセックスしてる、なんてとても言えない。  佳央だけが抱え込んだ秘密だ。 (本当のことなんてとても言えない。 さっきから目がさがしてるもんな。ヤバい。 佳純が可哀想すぎる。) 「今度俺たちの家に遊びに来いよ、彼氏も連れて。」  凍夜が言った。

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