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第123話 嫉妬?

 キシたちのいるトレーラーに涅槃寂静のボス、 山崎さんが迎えに来た。  ドアを開けて 「キシくん、すまないね。 飛鳥のわがままを聞いてもらって。」 「もっと、一晩中していたかったわ。 思った通り、彼、セックスが上手いわ。  それに絶倫。いつも抱いてもらえる恋人が羨ましい。」 「彼とは、二度目はないよ。 最初からそういう約束だ。」 「無理だった?あたしの一目惚れ。 彼の恋人には内緒にするわね。」  キシは佳純に秘密を持った事に苦い思いだった。この魅力的な女に、抵抗できなかった。  飛鳥は魔性だ。男を虜にする。 夫の山崎さんも、なんだかんだと言っても妻に骨抜きにされている。誰もが抱きたい女。  その相手に選ばれたのだ。断れなかった。 (俺は女嫌いなはずなのに。彼女は特別だった。 そこに愛はない。) 「山崎さんは嫉妬とか、ないんですか?」 「無いように見えるかい?」  いつも心はドロドロだ、と言う。 それでも自分のもとに帰ってくるから、何とか、耐えられる、と言った。 「飛鳥はニンフォマニアなんだ。色情狂。 医者の診断はついている。  時々相手を見つけてやらないと、誰彼構わずセックスを所望する。  飛鳥とやりたい男なんて山ほどいるんだ。彼女の名誉のために相手を選ばなければならない。  彼女がキシくんを欲しいと言ったんで、調べさせてもらった。」  ヤクザだと知った上でキシにお声がかかったらしい。女嫌いで浮いた噂もない。女にだらしなく無いのがいい、とボスは言った。 「身辺に女がいないんじゃなくて、男がいるんですよ。愛してやまない男の恋人が。」 「キミはバイなのか? 飛鳥をたいへん満足させたそうじゃないか。」 「飛鳥さんは気に入ってくれましたか?」 「ああ、忘れられない、もう一度抱かれたい、と言っていたよ。  キミを殺したいほど私は嫉妬に狂っているよ。 二度と飛鳥に会わないで欲しい。」 (ずいぶん勝手な言い草だな。 かしらの頼みでなかったら、絶対に断りたかった。)

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