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第124話 祭りの後
フェスが終わって日常が戻って来た。
みんな浮き足立っていた日々が、また、刺激のない田舎の生活に戻った。
それでも確実に何かが変わっていた。
佳央はそれを感じていた。情熱が失われている。みんな、佳純の鬱々とした気持ちが伝染しているようだ。
「あーあ、何か、気が抜けたな。
佳純が暗いんだよ。」
佳純は知ってしまった。キシとあのストリッパーの情事を。
(すごい大人なんだな。俺がガキなだけか?)
依然として佳純の身辺警護はキシの担当だ。
佳純は投げやりに
「もう、どうでもいいんだ。」
という態度を取っている。
キシは浮気が佳純に知られた事に気付いている。
(自分が悪いんだ。なぜ、キッパリと断れなかったのか。)
悔やんでももう戻れない。佳純の心は帰らない。
「あんな魅力的な人に誘われたら俺だって行っちゃうよ。」
ヤマが慰めてくれる。キムは
「キシ、見損なったよ。
俺はいやだな。キシが悪い。」
佳純の肩を持って責めてくる。あれから、佳純のボディガードの仕事は,付かず離れず、だった。離れて見守るだけ。
その日、事務所のソファで煙たそうにタバコを吸うキシを見つけた。
スリーピースを着こなす。長い脚を組んで座っているキシの何とも言えないカッコ良さ。
(ああ、この人は変わってない。
俺がいなくても普通に任務をこなす。
寂しくはないんだな。)
佳純は極道の冷血を思う。その長い指。愛された記憶。
(でも、あいつはその手で人を殴れるんだ。
同じように女を抱けるんだ。)
知らなきゃ良かった。あの日以来、キシに触れる事もない。
その日はキシのガードがなくてキムが校門で待っていた。
「若、今日は俺が家まで送って行きます。」
試験で部活のない1週間だった。ガードの立場で学校のスケジュールもしっかり押さえている。
「キシは、親父にお使いを頼まれたって、
出かけてます。」
キムの車におとなしく乗った。
(もう、キシの車には乗りたくねえな。)
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