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第128話 悪質なDVD
上田組は、地域に根ざした極道だ。勧善懲悪。
だから警察とも仲がいい。
県内に国際空港があるから、麻薬の取り締まりも厳しい。上田組は、当然ヤクに絡むと即、破門だ。時々パトロールに寄る所轄の警察官が、M会の悪質なシノギの話をして行った。
「酷でえな。フリークス・ショーっていうDVDが出回ってるそうだ。都内で撮影してるらしいんだが、見るのもトラウマになりそうな代物だ。
この町で、行方不明者とか、話に出たらすぐに連絡してくれ。」
観客の見ている前で手足を切断する動画。やりたい客から一本一本値段がつく。
麻酔をかけて切断するC国の外科医がいるらしい。警察には情報が入っているようだ。
「そういえば、前につるんでたガキどもが、そんな動画を撮ってましたよ。」
辰夫がキシたちに話している。
(佳純たちの学年か。)
相変わらず今関が胸糞な案件に絡んでいるようだ。みんなM会の金づるにされている。
いいように使われているのがガキにはわからない。
「辰夫、何か知ってるか?」
ヤマたちが、部屋住みの辰夫に訊いてみる。
「今関は前から残酷な動画、撮るのが好きだって言ってました。俺にももっと酷く殴れって煽って来たんで。」
結構心優しい辰夫は、弱い相手には酷いことが出来なかった。それで
「ガタイはいいけどヘタレだな。」
とか、言われていたらしい。
頭を蹴ったりするのが,見てるやつを喜ばせるので、途中から嫌になったという。
「クズだな。弱いくせに寄ってたかって一人をやる。恥ずかしい奴らだ。
極道はそうじゃないぞ。」
辰夫を囲んで若い奴らの事情を聞いた。
「全く胸糞だな。この頃は、タイマンとか張らないのか?ダセェな、大勢で。」
辰夫も頷いている。
「男じゃねえな。とりあえず腹減ったな。
辰夫、飯でも食いに行くか?」
辰夫を連れて、ヤマ、キム、キシの3人がヤマの車に乗った。組のステップワゴン。8人乗りだ。
いつものファミレス。
店の中に佳純がいた。佳央と誠が一緒だ。
キシと目が合った。佳純はツラい顔をした。
誠が
「よお、辰夫じゃん。久しぶりだな。
S工業のいじめっ子。」
「やめろよ。今はヤクザの部屋住みで立派に更生してんだよ。」
「あれ? ヤクザが更生って、変だろ。」
隣のボックスに座ったヤマたちがテーブルのタブレットで注文している。
山盛りのポテトフライを乗せて猫型ロボットが運んできた。
「よお、量産型ミケ。」
「ミケ、可愛いよな。」
「フィジカルAIを搭載して、ますます生き物らしくなったな。」
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