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第135話 正体
「こいつら、誰だ?」
組の若いもんを呼んで後始末してもらう。
話を聞いてカシラの黒川さんが若いもんを連れて駆けつけた。組のバンに乗せて事務所に連れて行って話を聞く。
「何でキシを狙った?それとも若の方か?
おまえら、どこの者だ?」
聞いても口を割らない。身動きできないように縛り付けて、事務所の奥に運んだ。
喋れるように口を塞いでいる幅広のガムテープを剥がした。
バリっ。
「アイゴー、イタイヨ。」
「日本人じゃねえな。」
「どこから来た?誰に言われた?」
手荒な事はしないが、口を割らせる程度には脅しをくれる。ヤクザの手慣れたやり方だ。
キシが
「佳純、家に送って行くよ。
カシラ、あとは頼みます。」
佳純は成り行きを見ていたかったが、キシの目が笑っていない。佳純にヤクザのやり方を見せたくないのだ。察して帰ることにした。
住まいは事務所の隣とはいえ、広いお屋敷だ。
佳純の部屋は離れたところだから何も見えない、何も聞こえない。
次の日、事情を聞かされるまで、落ち着かない夜を過ごした。本当なら、キシに抱かれて眠りたかった。
佳純は、佳央に電話した。話し相手が欲しかった。暴力の残渣が胸にこびりついて、興奮が収まらないのだ。
「珍しいな、電話なんて。」
「佳央、俺ってそんなにヤバい奴か?」
「何だよ、急に。そりゃあな、ヤクザの息子だもんな。
だけど,俺は佳純を知ってるよ。偏見はないよ。どうした?」
改めて話す事もみつからない。簡単に人に話してはまずい事なんだろう。話の途中から、気づいてしまった。
「何で電話なんか掛けたんだろう?
今度会った時話すよ。じゃあな。」
佳純は気軽に人と話せる稼業じゃない事を痛感した。
「そう言えば、変な噂を聞いたんだ。
あの今関がまた、町をうろついているんだって。
カメラを持って。」
目撃者がたくさんいるらしい。
精神を病んで不起訴になった事は周知の事実だった。
「入院とかしないのか?
やばい奴だろ。」
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