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第141話 六本木のタワマン

 黒川は、生田芸能の社長から六本木のタワマンの存在を聞き出した。 「最後に私が女の子たちに紹介したのは、そのタワマンのショーでした。  何か、若い女の子をデビューさせてくれる、と言ってたから彼女たちを連れて行ったんですよ。  障害がある娘がいいって言って、指の欠損なんか、むしろ喜んでたな。」  業界にはデビューのためにお涙ちょうだい的なエピソードがウケる。  三人娘の指がないのが返って同情を誘って好都合だったと言う。  黒川は、障害者の雇用のために協力している、と言う生田を疑った。 「テメェはそんなにいい人だったか? 家出娘に売春させてたネタは上がってんだよ。」 「いや、私は今、執行猶予中だから、悪い事はしてねえよ。この前のフェスでも、黒川さんには儲けさせてもらったから。」  フェスでは生田芸能にもキチンとギャラが出た。  案内を渋る生田に、場所だけ聞いて、踏み込んだ。警察にも通報済みだ。  怒声が飛んだ。緩い警戒で、中に踏み込むと、 転がされている娘たちを見つけた。他には誰もいない。紫色に鬱血している結束バンドをハサミで切った。口のガムテープを一気に剥がした。 「痛ぁい!」 「歩けるか?」 「アタシたち、助かったの?」  黒川の別動隊がエレベーターの近くでうろついている今関を見つけた。顔を知ってる奴が、 「おい、おまえ、今関だろ。」  手にスタンガンを持っている。すかさずキムが叩き落とした。今関は武器を使い慣れていない。  イジメの時は、囲んで動けない奴にお仕置きをする道具だったが、一人では扱えないのだ。 「だめだよ。こんなおもちゃ持ってさ。」 「他の人間はどこだ?何人いる?」  オロオロしている今関に、上田組の若いもんが聞いた。 「なんか急いで出て行った。100人くらいいたよ。俺は置いて行かれた。」  三人娘は泣きじゃくってうまく話せない。 「中山は来なかったの?」  助けに来てくれる、と、自分の亭主を待っていたのか。 「今関、助けてくれなかったね。」

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