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第142話 逃走経路
タワマンの中のスタッフたちはみんな逃げた後だった。悪趣味な観客たちはほとんど、C国の富裕層だった。日本人の金持ちも何人か混じっていた。この変態ショーの常連たちだ。
警察が踏み込んで、三人娘と今関を保護した。
手術台がある。外科手術の道具が、一通り揃っていて、恐ろしく光っている。
使われた形跡がそのまま残っている。散らかった薬品のパッケージにC国語が書かれていた。
「ご苦労様です。」
上田組の黒川たちは、警察の丁寧な挨拶で送り出されて、蚊帳の外、だった。
「この娘さんたちは事情聴取があるので、とりあえずお帰りください。あとは、警察の仕事です。」
「今関トオル。
猥褻図画等作成販売容疑で来てもらおうか。」
手錠をかけられた。
「ヒィーッ。」
娘たちは結束バンドを思い出して悲鳴を上げた。
「この娘たちは警察病院に行きます。
ケガしてるようだし。」
婦人警官が連れて行く。
黒川は若いもんを集めて何か耳打ちした。これからの指示をしたようだ。
このタワマンの並びに中層マンションが並列して建っている。同じデベロッパーの開発物件だった。ほとんどの住人がC国人だ。コミュニティが出来ている。ここでは、アリペイが流通している。経済活動は全てC国の監視下にある。
C国資本の建物らしく地下5階まであるようだった。
「奴らのアジトはこのマンション一帯だ。
地下に何らかの輸送手段があるはずだ。」
短時間でショーの出演者や患者たちを運べるはずがない。
黒川の予想は当たった。ヤマとキムとキシは、通用口から入って行った。駐車場入り口数ヶ所を、六本木界隈のヤンチャな走り屋たちがバイクや車で固めている。上田組の子飼いの半グレたちだ。
花田美鈴が一階の広間から様子を伺っていた。
そんな短時間で人が消えるわけがない。
「ヤバいショーなんかやっているんだ。
逃げる用意はしてあるんだろうよ。」
警察はそこまで考えていないのか?
地下駐車場にバスが数台停まっていた。不具合が多いと言われるC国の電気自動車。
中には人が鮨詰めだった。わあわあ喚いている。
「早く出して!大井埠頭まで。
船が待ってるから。」
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