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第143話 サイボーグ
人死にも出ず、囚われていた娘たちと今関は警察に引き渡された。黒川の用意周到な準備が功を奏したのだ。
逃げないで,出て来た花田美鈴は、警官の見ている目の前で、自殺した。
得意の薬物、フェンタニルを2ミリグラム打って、幸せそうに死んだらしい。致死量は0.2mgだ。他の人間は、全員逮捕され、強制送還だろう。静かな抗争だった。
「うわっ、何だこれは?まるでサイボーグだ。」
花田美鈴の検死は医者を唸らせた。
「身体中、整形されてますね。
身体がほとんど人工物で出来てます。
脳だけは人間のものかな?」
「いやぁ、脳の機能も出来る範囲で全部、置き換わってますよ。
頬の辺縁系が司るところだけ、自分の筋肉です。不随意筋のように、動きます。
神経伝達物質がAIに繋がっている。」
「そんなのあり得ないだろ?」
C国では人体実験でかなり進んだ医学を収めているようだ。早すぎるシンギュラリティ。
花田美鈴のメッセージ動画が壁のモニターにセットされていた。
「私は作り替えられたサイボーグ人間。
自ら望んだわけではない。
こんな私は、生身の人間に惹かれるのです。
痛み、苦しみのたうち回る人間だけが最も人間らしい。四肢切断は生きる証を見るため。
本当に生きてる!って思えるのはこの瞬間だけ。もう人間の身体は全部作り替える事が出来るのではありませんか?
もっともっと医学が進めば、人類そのものを作り出せる。精神、脳までも。
AIが担ってくれるでしょう。
我が祖国は神に成り代わって研究して来ました。
逆らう少数民族は、その実験台に使われるべきです。」
その宣言の動画と一緒に今までやって来た人体実験が事細かく録画されていた。
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