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第144話 記録動画

 花田美鈴の残した動画は、おぞましいものだった。ホロコースト。スローター。人類は時として大量殺戮に走る。恐ろしいのは今現在、それが続けられている国があるという事だ。  人々の内面に残虐さが、内包されているのか?  録画を見た警察関係者に精神を壊す者が続出して、閲覧禁止動画に指定された。門外不出。  今関のデジタルカメラに撮り溜めた動画から、暴行事件が数多く立件された。  猪飼辰夫を焚き付けて、暴行動画を撮る。犯罪だ。それを煽る娘たち。彼女たちの罪も深い。  ただのイジメとは言えない。範疇を超えている。  なぜ、自分たちの悪行を録画してSNSに公開するのだろう?すべて証拠として残る。この救いようのない行為は,デジタルタトゥーとなって世界中に拡散して行く。  改めて、今関は医療に繋がった。人里離れた精神病院の隔離病棟に入院となった。  この一連の事件は、表面的なことだけがニュースになり、真相は闇の中、だ。一般人は知る由もない。  一人のパラノイアが世界から消えた、だけだった。彼の国では、まだ大量に人間が作られ、臓器が抜かれている。闇は深い。 「花田、お母さんが亡くなったんだって?」 S高サッカー部の花田は、担任に呼ばれた。  花田を生んですぐに失踪した女だった。12才で行方不明になり、成人して戻って来た時には妊娠していたと言う。田舎で、人知れず産み落としてまた,失踪した花田の母。 「馨という名前だけ残して消えたんだって。  その母の死亡通知が所轄の警察から届いた。 育ての親が驚いている。 「12才で神隠しさ、合ったってみんな言ってたよ。綺麗な娘だったから。  その娘が二十歳の頃,戻って来て子を生んだのさ。そしてまた、消えたっちゃ。」 「ばあちゃんが不憫がって、弟夫婦が引き取って育てたんだ。」  その子が、花田馨だと言う。 C国に、サッカーの上手い人の子供を作る遺伝子操作した赤ん坊がいた記録がある。  後追いが出来ていない。情報は途切れている。 花田美鈴は通名をつける時、花田という名前にこだわったという。

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