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第146話 二人の夜
キシの部屋に帰って来た。いつもガードして学校にいるからお抱え運転手のようだ。
離れた所で見ているキシの目がくすぐったい。
ドアを開けたらすぐに抱きつく。
「キシ、俺はキシが足りない!」
笑って抱きしめてくれる。
「晩飯、何にする?」
「作るの?」
「いや、どこかに行ってもいいよ。
何食べたい?」
「うん、出かけるのは面倒だな。
作るよ。何かあった?」
そんな事を言い合いながらキッチンを漁る。
「この前,買って来たパスタとトマト缶、あとチーズもあった。簡単なパスタでいいか?」
ニンニクとオリーブオイルを出してくれた。並んでキッチンに立つ。
「なんか、新婚夫婦みたいだね。」
腕に抱きついてそんな事を言った。
スーツの上着を脱いでシャツの袖を捲り上げたキシの筋肉質の腕がセクシーでドキッとした。
広い肩に守られるようにキッチンに並んで、何だか照れくさい。
「パスタだけじゃ寂しいな。」
「冷凍したステーキ肉があるよ。」
冷凍室からゴソゴソと探してくれた。
「すごい、ヒレ肉だ。
すぐ焼けるね。レアでいい?」
「ああ、凍ったまま焼いてしまおう。」
パスタはトマトとニンニクで簡単にしたけど、ヒレステーキが立派だ。
「いい塩とわさびで食うんだよ。」
一口大に切って口に入れてくれる。
「うん、美味しい。」
「佳純もワイン飲もう。」
グラスを二つ出してくれた。
「飲んでもいいかな?」
「はあ?佳純は真面目か。」
「酒とタバコはやった事ない。」
赤ワインを一口飲んで見た。
「渋い感じ。酸っぱい。不味い。
グレープジュースのがいいな。」
「そうか?佳純を酔わせてみたかったのにな。」
そう言うキシの声にゾクゾクする。
パスタにパルミジャーノの塊を削って山のようにかけたものを食べる。
「美味しい!
粉になったチーズより塊のスライスが美味しい。」
ニコニコ笑っているキシが素敵だ。
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