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第151話 若い頃

 佳央の部屋に行く前の晩、キシの部屋に泊まった。この頃はキシの部屋に住み着いている。 「この頃、物騒な噂が出てるんで。 佳純は気を付けて。」 「気をつけるって、どうやって?」 「俺がぴったり張り付いてるよ。」    ソファに並んで座って髪に指を入れている。 「この髪の色、なんていうんだ? 佳純の髪は柔らかくて綺麗だな。」 「少し伸びて来て邪魔なんだ。 アッシュブラウンかな?」  頭をゴシゴシされた。 「キシも長いね。カッコいいけど。」 「昔はドレッドロックスにしようと思って伸ばしたんだよ。」 「ドレッドは禿げるよ。有名なラスタマンはあのキャスケットみたいな帽子を取ると禿げてるじゃん。」 「そう思ってやめたんだ。 ドレッドは洗いにくいし、ね。」  キシの肩に頭を乗せていろんな話をする。 ずっとこんな日が続けばいい、と思う。 「キシにもそんな若い頃があったんだね。」 「まだまだ佳純と2人でやりたい事がたくさんあるよ。」 「うん、バイクでツーリングにも行ってないし。」  いつか、ここよりもっと田舎で暮らして大きな犬を飼う、とか夢を語る。  ベッドの中で裸で抱き合いながらいろいろな話をする。どんな風に生きてきたのか? 「ホストって面白かった? 想像するとなんかジェラシーだよ。」  この大きな手が女の人を愛したりしたのか、とか。 「佳純にヤキモチ妬かれると嬉しいなぁ。」 「あ、子供っぽいと思ったでしょ。」 「いや、こんなセックスの強い子供はいないな。」 「えっ?俺、強い?」 「ああ、強いっていうか、好きだよね。」 「キシと愛し合うのが好きだ。 もっともっと愛し合いたい。」 「ふ、可愛いな。」  佳純はキシの分厚い胸に抱かれるのが好きだった。  この頃、M会の不穏な動きがあるのはわかっていた。組の幹部には情報が入っていた。  事務所から出て、マンションに向かう所を呼び止められた。一足先に出たキシの後ろから佳純めがけて銃をぶっ放した野郎がいる。

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