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第153話 なんで?
「なんで佳純なんだ?
誰かが捻じ曲げて変な話にしている。」
今回の一件は,みんなに周知された訳ではなかった。警察の意向もあって内輪で処理された。
フローラルグループの事件など、佳純が全てを知っているはずもない。
「M会の高橋って奴がなんかおかしな事言ってるんだ。M会では、今関の動画をDVDに焼いて売ってたんだよ。
世に出せない異常な残虐性のある動画で,出回るのはヤバいって警察でも言っていた。
そんなものは飛ぶように売れるんだ。」
「法に触れるような動画だった。外に出してはいけないものだ。」
それをチクったのは上田組の次男坊だと広めている奴がいる。
「中山さんの息子の女を拉致って指を潰したのも
その次男坊だって。」
ヒットマンにされたのはM会の高橋の下に付いている門田という男だった。
本気の殺しなんかやった事もない駆け出しのチンピラだ。
「チャカ持たされて組に出入りのパキスタン人のヤードで、試し撃ちを数回しただけで、いきなりタマ取って来いって。」
門田はまだ二十歳そこそこのガキだった。両腕にタトゥーを入れてイキがっていたが人を撃つ度胸はない。
今回、キシにタコ殴りにされて、鼻の骨が折れたようだ。鼻血が止まらない。
「医者ぁ連れて行け!」
代行の柳生さんが情をかけてやった。
ヤマとキムが門田を引っ立てて医者に連れて行く。
「帰ったら,また話聞くからよ。」
キシが呼ばれた。
「なんで若が狙われてんだ?」
いきなり代行の蹴りが入った。転がるキシに容赦なく蹴りが入る。
「ドカッ。」
「柳生さん、すみませんでした。」
「テメェ、ガードじゃねえのかよ。
盾になるのがおまえの仕事だろ?」
「す,すみませんでした。」
「若に何かあったら、テメェのタマじゃ足りねえからな。」
「はいっ。」
(佳純が知ったら悲しむだろう。
何にしても裏で誰が指示したのか。
そいつを絶対許さねえ。佳純は俺の命だ。)
部屋に不安そうな佳純がいた。
「キシ、大丈夫だった?」
「ああ、大丈夫。おまえに当たらなくて良かったよ。」
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