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第156話 発砲

佳純が佳央のベッドで寝転んでいる。 「何だか、キシたちが心配し過ぎてピリピリしてる。佳央の所に来るのも見張られてるみたいだ。」 (じゃあ、何でわざわざ俺の部屋に来るんだよ。) 佳央は思った。 「来るなって思ってる?悪いな。 なんだかこの部屋は居心地がいいんだよ。 そばにおまえがいるからかな。」  佳央の部屋に来ても、外の車の中でキシが待っている。キシは佳純から全く離れない。  あの発砲事件は警察には届けていない。カシラの黒川に何か考えがあるようだ。 「どうも、息が詰まりそうだ。 佳央にも迷惑かな?」 「ああ、ウチに銃を撃ち込まれたら怖いな。」 「そうか、佳奈ちゃんもいるしな。 俺、あんまり来ないようにするよ。」  今更気付いて佳純は帰ることにする。 (ずっとここにいてもいいって、俺,何で言えないんだろう?ごめん、佳純。) 「おふくろさんにも迷惑かけてるな。 ごめんな、気がつかなくて。」  佳央は寂しい気持ちになった。 「あら、佳純くん、ご飯食べて行けば?」 「ありがとうございます。外で迎えが待ってるんで。帰ります。」  佳央は窓を開けてキシの車を探した。佳純が手を振って車に乗り込む所だった。  誰かが、駆け寄って来た。 「あっ!佳純。」  車の影から男が走って近づいて来た。 佳純が車に乗り込むと同時にその男が発砲した。 組のクルマは防弾仕様になっている。弾をはじいて数発発射音が聞こえた。  佳純は誰かから聞いた事を思い出した。 チャカっていうのはリボルバーの事で、六発装填出来る。6回撃てるのだ。装填して終わった時、弾倉を回す音がガチャっと鳴るのがチャカのゆらいだと。  咄嗟にそんな事を考えていた。 発砲した弾が跳ねて二次災害にならないか? 「全部撃ち込んだんだ。どれも当たらないじゃん。」  佳純は、ピストルって案外命中しないものだな、などと考える自分がおかしかった。  佳央の所に佳純からメールが入った。 「佳央、ケガはないか?俺,家に帰るから。」 (迷惑かけてるな。やっぱり半端者のヤクザだ。)

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