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第167話 人間競市 5
いよいよ始った。不気味な競市。頭のおかしい顧客が事前に希望した注文が順番に読み上げられる。
「本日のお客様は角膜がご所望のようですね。
どの様にご用意しましょうか?」
客席から
「抉り出せぇ!スプーンで。」
男が一人、連れて来られた。抑えられて寝台に
抑制された。
「騒がれるので眠らせます。」
麻酔注射を打たれた。キチンとした外科の道具で眼球を抉り出す。
助手が摘出した眼球を丁寧に保存容器に入れる。移植するには一刻を争う。
「急いで角膜手術を行います。臓器は決して無駄には致しません。」
拍手が鳴り止まない。健康な目を抉り取られた男のことは考えないのか?
「はい、角膜、片方で三千万円。
ありがとうございます。」
続いて女子高生が引き出されて来た。春子が先ほどからステージで子供を抱きしめて震えている。織子の声が一際高くなる。
「皆さん、こちら、本当の素人さんです。
日本人の高校生。日本人は貴重です。清潔で健康。C国人の様に汚染された食べ物を摂取していない。細胞レベルで健全です。」
春子と玲子が小声で話す。
「なんか言ってるよ。
玲子,やばいよ。シャレにナンないよ。
さっきホントに目ぇ、抉り出してたよ。」
子供が取り上げられてステージに連れて行かれた。
「この子から、いかがでしょうか。
どの様にお料理しましょうか?
子供の臓器は待ってる方も多いので無駄には出来ません。どなたか、買い取って頂けるかしら。」
織子の声に
「柔らかそうな肉だ。私が買い取ろう。」
裕福そうな男が札束をテーブルに並べ始めた。
「なんという下品なお客様。どなたのご紹介かしら?」
黒服に引き摺られて連れて行かれた。
「やめろ!私を誰だと思ってる。
トラック協会の会長だぞ。都内を牛耳っている。
一声かければ気の荒いドライバーが数百人、突こんで来るぞ!」
「ほほほ、無駄ですわ。
あなたも明日あたり、身体のパーツになって、
コンテナ行きですね。」
「やめろーっ!」
「こら、あんまり汚すなよ。商品にならねえ!」
奥に引き摺られていった。
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