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第170話 人間競市 8
政財界の大物が集まっているのだ。それなりにSPが付いている。少しの異変も見逃さないだろう。
堂々とキシは入って来た。エレベーターは15階で乗り継ぎだ。今日はその後30階までノンストップになっている。
案外、警備は手薄だ。それぞれのゲストがボディガードを連れているから任せているのだろう。キシの仲間たちが白シャツ黒ズボンでスタッフに見える。続々とエレベーターから降りてきた。ヘアスタイルが派手だが、ギリ、黒服に見えなくもない。ヤマたちが知ってる顔もいる。
「やあ、こっちこっち。」
ステージでは、寝台に縛り付けられ眠らされた春子に、電動ノコギリが向けられている。
ギーンと嫌な音が聞こえてくる。
玲子は椅子に座って固定され、顔を押さえられて、織子が液体の入った瓶を顔に傾けている。
中身を滴らそうとした。零れた雫がジュッと音を立てて上掛けの布を溶かした。
ノコギリを足首に当てた所で、電気が消えて振動も止まった。皮膚が少し切れている。
「なんだ?停電か?」
キシの仲間がこの階の配電室に潜り込んでブレーカーを下ろした。危機一髪だった。
屈強そうな警備員がわらわらと入って来たが、キシの仲間も大勢飛び込んできて、乱闘になった。空調も切れて密室となったビルの最上階は電気がないと真っ暗闇だ。
ゲリラ戦の得意な仲間が続いて入って来た。
中には軍事オタクの仲間が赤外線ゴーグルを付けて歩いている。客たちはパニックだ。
「おい、警備、私を守れ!」
「岩ちゃんずるいよ。私も連れてって。」
キャバ嬢の美久が喚いている。
どさくさに紛れて玲子が、織子から瓶を取り上げて振り回した。中身がぶちまけられる。
「キャーッ!」
硫酸らしき液体が織子のチャイナドレスの剥き出しの太ももにかかった。
ジューっと嫌な匂いがする。肉の溶ける匂い⁈
かなり強力な硫酸のようだ。
美久のドレスにもかかった。露出の多いドレスの胸元が溶けている。
強化ガラス瓶の中身はかなり強力な硫酸だった。急いで春子の抑制を解く。頬を叩いて
「歩ける?春子!」
「うん、大丈夫。玲子は?」
「歩けるよ。」
足から血を流して立ち上がった。
キムが手を引っ張ってくれた。変な手術着だけで、恥ずかしい。
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