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第171話 脱出
会場は大変な事になっている。
政財界の大物を無事に避難させるためにボディガードたちがぶつかり合っている。
「先生っ!どちらですか?」
「社長、大丈夫ですか?」
ボスたちの心配をして怒号が飛び交う。退路を確保できていない。統率がとれていない、杜撰な警備だった。
ボロボロのドレスで織子は
「全く、C国人のやる事は手抜きだわ。
こんなに重要人物が集まっているのに。
だから信用出来ないのよ。」
あちらこちらで殴り合いが始まっている。ケンカ慣れしたキシの後輩たちが圧倒的に優勢だ。
「パンッ、パンパンッ」
C国人が銃を撃った。
「馬鹿野郎!こんな混み合った所で
ぶっ放すんじゃねえ!」
モノを知らないC国人がバカな真似をしたが、一瞬静かになった。
そしてまた以前にも増した喧騒で、収拾が付かなくなった。
キシは思い切り殴れるので生き生きとしている。
「キシさんカッコいい!
変わんないね、ガキの頃と。」
絶対勝ち目がないからキシとタイマン張る奴はいなかった。
「気をつけてください。奴らはチャカ持ってますぜ。」
「汚ねえな、C国人!」
ヤマが連絡していたから上田組からも助っ人が集まっていた。黒川が
「親父を慕って関東中から息のかかった人間が集まってる。みんな、死ぬなよ!」
カシラの激が飛ぶ。日頃事務所にいる人間だけではない、錚々たる顔ぶれだ。
ドカッ。倒れた男をまだ、蹴っている。キシの顔色が変わっている。倒れた男は血を吐いて、もう戦意を失っている。
「その辺にしておけ。若が知ったら悲しむぞ。」
黒川がキシを止めた。
「あの女、どこに行きました?」
「あの織子とかいう女か?
下りエレベーターの一便で真っ先に逃げ出したよ。逃げ足は早かったなぁ。」
「下にバイク隊が待ってるから、逃げ切るのは無理でしょう。」
地上では警察が取り囲んでいるから安心だ、と思っていた。
キシの古巣、「下総房総連合」のバイクチームがざっと二百台。サッと逃げ出す者たちを取り囲んだが、警察が引き取って誘導して、なぜか逃がしてしまっている。VIPを守っているように見える⁈ 上級国民だからか?国家権力が犯罪者を守る?信じられない!
「関係ない者は帰りなさい。
集団行為は逮捕します。」
警察は誰の味方だ?
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