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第173話 M会と上田組

 地元で工業団地を仕切る今関の父親は,ヤクザにとってこの上ない利用価値のある存在だった。  目の上のたんこぶ、上田組。そこが仕切るキャバクラのさえない黒服に目をつけた。それが高橋だった。上田組にゲソを入れながら、M会のシノギの大きさに、一瞬で寝返った。  こんな奴は誰も信用しない。しかし、利用価値がある。この町でそこそこ顔が利く。上田組の内情もペラペラと喋ってくれる。M会にしてみれば高橋も中山も、ほんのお試し要員だった。  今関に煽られておもしろい動画を撮るためと称したイジメ暴行がどんどん悪質になって行った。  イジメ暴行の主催者は中山の息子。そしてそのガールフレンドたちが盛り上げる。内容はエスカレートしていった。  そして今関の狂気が爆発する。M会はDVDの売れ行きが良くなるのでもっとやれ、と煽ってくる。 「今関に言っておけ。そのうちスナッフビデオ(殺人ビデオ)も撮らせてやるぞ。  会長が喜んでいらっしゃる。」  こうして広域暴力団M会がこの町に目をつけるようになる。 「上田組を舐めてたな。 一本独鈷の上田組がこれ程機動力を持ってるとは思わなかったんだろう。」  一本独鈷とは、どこにも迎合せず組を純粋に率いて来た,という事だ。  新興の組織が集まって大きく見せる烏合の衆とは違う。M会のような、傘下を多く持つ広域暴力団とは袂を分つ。 「C国に何か協力してるんですかね。 臓器売買は重罪だろう。 何で見逃すんですかね?」 「今関はサイコパスだ。 C国の臓器売買に繋がる人脈に興味があるんだ。 切り刻んでもいい、人間のサンプルに。  C国なら手に入る。ウイグル人とかチベット人。それとおとなしい宗教団体の学習組織。  法輪功とか。目の敵にしている。人体実験の材料にしている。」  腑に落ちない事も多い。 すっきりしないが、佳純は佳央の友達が無事だった事にホッとしている。  佳純はこの所キシとの距離が出来てしまった気がして寂しい。   キシには一声かければ集まってくる熱い友情で結ばれた仲間がいる。 (キシは俺のものだと信じていたのに 何だか違うみたいだ。)

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