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第177話 ミケ
「佳純は変わらないね。」
佳央に言われて
「当たり前だよ。襲名なんて、別に生活は変わらないよ。佳央は絵描いてんの?」
「ああ、漫画描いてる。」
「へえ、見せてよ。」
「嫌だよ。おまえの半生を漫画にしたんだよ。」
ー仁義なきゲイ道ーというのを描いた漫画は全く売れなかった。漫画賞にも引っかからなかった。
「ワハハ、まだ世の中はゲイにきびしいな。
飯行こう。」
あのいつものファミレスに行った。
「ミケェ、いつも可愛いなぁ。」
「イラッシャイマセ。」
ネコ型ロボットが滑るように寄ってきた。
「俺、チーズハンバーグ。」
警護のためキシが張り付いている。
「キシさんも一緒に食べましょうよ。」
「ここに座って。佳純の隣。」
笑いながら席に着いた。
「俺もハンバーグで。」
結局みんなハンバーグになった。
「オマタセシマシタ。」
ミケがみんなの分を運んで来た。
「佳純は毎日何やってんの?」
「時々バンドの練習に行くよ。」
まだあの「蓮華坐」は続いている。みんな卒業して数年。それぞれの道を進んでいるが、なぜかバンドは続いている。
「佳純の声が人気あるんだ。
何か出さないかって話が来てる。
ネット配信だな。金になるって。」
食事が終わってジローの働くピアノカフェに行く事になった。
「久しぶり!佳純、おめでとう。」
夜はピアノカフェがピアノバーになる。
みんなは飲み慣れないカクテルを注文した。
ジローの不倫相手だった綺麗なママが来た。
離婚してフリーだそうだ。ジローのためか?
「カクテルお待たせしました。
マティーニはどなた?こちらはキールとマンハッタン。みなさんジローちゃんのお友だち?」
みんな飲み慣れないカクテルを飲んだ。初めての経験に興奮している。
「はい、一緒にバンドやってます。」
「あ、佳純はボーカル。」
「素敵ねえ。モテるでしょ。」
「佳純はもう決まった相手がいるんだよ。」
キシが軽く会釈した。それでママはわかったみたいだ。
お酒を飲んで酔っ払った一行は上機嫌で帰って来た。
「ご馳走様でした。」
二人の時はキシは夫の役割だ。弟分ではない。
男らしい振る舞いだ。
日々は何事もなく過ぎていく。
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