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第19話 映画デートのお誘いに内心うるうる

「ねえ、深月。明日の夕方、会える?」 「え?」  通話を始めて1時間が経過した頃、不意に提案されたからびっくりして言葉が喉に引っかかって出てこない。 「んと……特に、予定はないよ」 「そう。よかった。なら明日、映画見に行かない?」 「っ!」  誘われてる、僕?  これって、遊びの約束なのかな……。 「お誘いすごく嬉しいけど、星七くんはライブの翌日で疲れない? 家でゆっくりしたほうが……」 「ふうん。深月って見かけによらず積極的だね。いいよ。そしたら明日、俺の家来る? 家なら人目気にせずゆっくりごろごろできるよ」 「お、おうちはちょっとハードルが……」  流石にカリスマアイドルのおうちに突撃する勇気はありません。 「ふふ。言ってみただけ。反応がわかりやすくて助かる。そしたら、俺の行きつけのミニシアターで映画見よう。そこのキャラメルポップコーンめちゃうまなんだ。深月に食べさせたい」 「おいしそう……! ミニシアターって普通の映画館とは違うの?」  素朴な疑問を零せば、星七くんはけろっと教えてくれた。 「プライベートシネマだから、俺と深月の2人で貸切だよ」 「かし、きり?」  プライベートシネマなんて、聞いたことないや。星七くんはやっぱりお金持ちだ。 「そ。だから映画見ながらゆっくりできるよ。深月は今日、疲れも溜まってるだろうから本当は明日は1日お休みさせたほうがいいってわかってるんだけど、顔みたくて。なんかすごく会いたくてさ。ダメ?」  おそらく、今の星七くんは目がきゅるるんしてるはずだ。おねがいアピールに抗えるわけがなかった。  それに僕も、さっきの会話だけじゃ物足りなくて満足できない。次にいつ会えるかわからないから、会えるならすぐにでも会いたい。 「いいよ。僕もゆっくり話したいし、明日のお昼まで休めば身体は平気だろうし……」 「よかった。そしたら、明日の16時に六本木駅ヒルズの前で待ち合わせね。会えるの楽しみにしてる。今日は見に来てくれて嬉しかった。おやすみ。ゆっくり休んでね」 「うん。六本木ヒルズの前に16時ね。わかった。明日、楽しみにしてる。それと今日……本当にかっこよかったよ。おやすみ」  最後の方はしりすぼみで恥ずかしくなって一息で伝えてしまったけど、聞こえたかな?  僕から通話ボタン切っちゃったし……。  怒涛の1日の出来事を頭の中で振り返り、処理しきれずに頭がショートした。  ベッドに潜って毛布を抱きしめたら、まるで星七くんが添い寝してくれた時みたいに安心して手足の力が抜けていった。

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