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第22話 ぎゅっと掴んで離さないで(R18)

 プライベートシネマが初体験の僕は、星七くんの誘導に従って楽しみ方を覚えていった。 「これ、音量設定のリモコン。部屋の照明、このくらいの暗さでいい?」  スムーズに準備を進める星七くんの後ろ姿を眺める。ふっ、と部屋の照明が一気に落ちた。本当に普通の映画館みたく暗い。けれど、スクリーンに映し出される光が僕らの顔に反射して手元は明るい。これなら、ポップコーンをつまみながら映画を楽しめそうだ。 「じゃあ深月、こっちおいで」 「?」  ソファに腰掛けた星七くんに呼ばれ、少し距離を保ってソファに背中をもたれた。すると星七くんは──。 「ダメダメ。ブランケット一緒に羽織るからもっと近く来て」 「わっ」  お腹の横に手をまわされ、星七くんの真横にくっつく形でソファに座ることになった。あまりの近距離に上手く息ができなくなりそうになる。  心臓なんかすごいばくばくしてるのに、星七くんは全然緊張してなさそうで……。  僕だけなのかな、こんなドキドキしてるの。  そう思ったら少し寂しくなった。願わくば、星七くんも僕と同じくらいドキドキしてたらいいのに。そしたら、両想いってことになるよね……。そうだったらいいのにな。 「じゃあ、この映画にしよっか」 「うん……」  星七くんがうきうきで映画を選んでいる時も僕は上の空でぼんやりしていた。  それが、まずかったんだろう。 「っひ!」 「もう。深月ったらそんな怖がりだったの? ホラー映画苦手なら教えてくれれば良かったのに」  僕は映画冒頭で、首だけが切り取られた被害者の身体が電柱に磔にされているのを見て、目をぎゅっとつぶって星七くんの胸の中にダイブした。  恥ずかしいとかそういう気持ちよりも、「怖い」という気持ちが優先されて大胆な行動に出てしまう。 「星七くんっ……怖い。その映画消してっ」 「んー? どうしよっかなあ」 「意地悪……!」 「かわいい深月が悪いの」  ぷるぷる震える僕をぎゅっと抱きしめて、膝の上に乗せる。よしよしと背中を撫でられているが、映画はそのまま流れ続けていて画面を見なくても叫び声が大きくて目が開けられない。 「ほら、大丈夫。大丈夫」 「……うっ」 「泣いてるの?」 「ううっ……映画止めてって言ったのに……!」 「ごめんごめん。ぷるぷる震える深月が子犬みたいにかわいくて、もっと見たくてつい。消すね」 「……うん」  やっと映画を止めてくれた。僕はまだぶるぶる震えていて、星七くんが気遣ってブランケットで包んでくれる。赤ちゃんのおくるみみたいだ。星七くんに密着していることに改めて気づいて我に返り、腕の中から逃れようと胸を押した。けれど、鍛えている星七くんの胸は何度押してもびくともしない。 「こらこら。暴れない」 「……っ」  暴れてもエネルギーを消費するだけとわかって、僕は手足をばたばたさせるのをやめた。代わりに星七くんにしがみついて離れない。  だって星七くん、甘くていい匂いするし。普段はアイドルだもん。二人きりの時くらい、星七くんのこと独り占めしてもいいよね……?  僕は無言で星七くんの肩に顔を埋める。星七くんの肌、すべすべしてる。僕はほっぺを押し付けてその感触を楽しんだ。けれど、星七くんは少しくすぐったそうに掠れた声を洩らして──。 「?」  僕のおしりの下がぐに、と硬いもので押し上げられている感覚に頭がはてなでいっぱいになる。 「っちょっとタイム」  星七くんが僕の後頭部を押さえて、苦しそうに声を洩らした。 「ごめん。くすぐったかった?」  へら、と笑って許してもらおうとすれば星七くんは珍しく頬を赤らめて首を振る。 「いや、違うけど……」  そう言いつつも、やはりおしりの下から何かに突き上げられている感覚があり、不思議に思って腰を浮かして星七くんの下半身を確認してみた。 「……」  ズボンがテ、テント張ってる……!  僕は目にしたものが信じられずに、星七くんの膝の上から勢いよく転げ落ちた。 「あー、もう」  動揺する僕を見て星七くんは申し訳なさそうに下半身にブランケットをかけて隠す。 「ごめん。疲れてて最近シてなかったから、気が緩んで……疲れマラってやつかも」  苦笑する星七くんと、口をぱくぱくさせて驚く僕。 「気持ち悪かった? ごめんね、変なとこ見せて」  無言の僕を見つめた星七くんの顔はどこか悲しそうで、いてもたってもいられなくなる。 「気持ち悪くないよ。だけど、他人のそういうの見たことなかったからびっくりして……」 「ほんと? じゃあ俺が初めて?」  あれ? さっきのしょんぼり星七くんはどこへ? 目に輝きが戻りつつある様子に僕は困惑する。 「うん……」 「そっかあ。俺が初めてなんだ」  そこで星七くんは冷静さを取り戻したのか、爆弾発言を落とした。 「深月はそういうの好き?」 「へ?」 「だから、ひとりでするの」  星七くんが僕に迫ってきて、耳元で囁かれる。そしてそのまま身体を起こされ、ソファに押し倒された。沈んだ身体に、星七くんの身体の熱が伝わってきて心音が激しく高鳴る。 「っ……! わ、わからない……」 「ふうん。じゃあ、わからせてあげる」  ふにゅ、と何かが僕の口に触れた。それは、桃みたいに柔らかくて潤んでいて、熱かった。  星七くんにキスされていることに気づいて、気を失いかける。けれど、それを許さないと言わんばかりに星七くんが触れるだけの口付けから、僕の口の中へ割って入る深いキスをしはじめた。濡れた熱い舌先が僕の口内を愛撫する。僕の身体は緊張して固くなり、身動きが取れなくなっていた。

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