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第26話 まさかのコラボPR【Milky Way】波乱ましましの予感……!

「皆集まったな。さっそく午後のミーティング始めるぞ」  お昼休みを終えて僕とみも先輩は部長がおさえていた会議室に向かった。同じ広報部の社員も数人いる。 「まずは、さっき俺が取ってきた契約だが……」  僕らが固唾を飲んで見守る中、夕貴部長はパソコンに何かの映像を流した。その瞬間、聞き慣れた音楽も聞こえてきて僕はハッとしてみも先輩の顔を見た。するとみも先輩も僕を凝視していた。以心伝心。  この映像の人たちってまさか──。 「今回、この2人組のアイドルの『Milky Way』とコラボするスキンケアブランドの新商品のPRをうちで行う」 「嘘……」  静まり返った会議室に僕の声がぽろっと落っこちた。皆、怪訝そうな顔をして僕を見る。みも先輩が、しーっと人差し指で自身の唇に手を当てている。僕は「すみません」と謝った。 「なんだ。朝比奈、このアイドル知ってるのか?」  会議室にいる全員の視線が僕に突き刺さる。  あんまり、じっと見られるの慣れてないのに……。 「あ、はい。テレビで見たことがあって……」  ここで、みも先輩とライブに行ったことがありますと言ってしまったら、きっとよくない。  本能的に嘘をついた。そんなしどろもどろな僕を夕貴部長はそこまで気にしていない様子で話を戻す。 「大手スキンケアブランドの『フェアリーブルーム』の新商品をPRする。来月に新商品お披露目イベントを記者団に向けて行う予定だ。商品とモデルを使った広告ビジュアルの撮影が予定されている。『Milky Way』の2人のビジュアル撮影、CM撮影、SNS発信と盛りだくさんだ。お前らの腕の見せどころだぞ」  くすくす、と和やかな空気が広がった。部長のこういとこ、ほんとすごいな。見習わなくっちゃ。  真剣な会議でも、ほんの少しふわっと笑わせてもらえると緩急がついて僕たちも発言しやすくなる。  皆に見えないように、みも先輩と隣合わせの席で親指を上げてポーズを取る。感極まって泣きそうになってるみも先輩。よっぽど嬉しいんだろうなあ……僕もすごく嬉しいし、名誉なことだ。大好きな人とお仕事で関われる。そんな奇跡みたいなことってほんとにあるんだ。  のほほんと和んでいたら、不意に部長が僕を指名した。 「朝比奈。お前には今回のイベントで、スキンケアブランドの『フェアリーブルーム』のブランドキャラクターのデザインを任せる。PRの際には、そのキャラクターの着ぐるみも登壇予定だ。しっかり頼むぞ」 「えっ。僕がですか?」  思わぬ展開に僕の息が少し上がった。嬉しくてわくわくして、でもちょっぴり不安もある。けど、頑張りたい。せっかくもらえたチャンスだから。 「ああ。この前の案件で採用されたマスコットキャラクターが先方で大好評らしいぞ。新しいグッズも作りたいそうだ。近々グッズデザインも任されるだろうから、よろしくな」 「……っはい! 頑張ります!」  やったあ……。僕の描いたマスコットキャラクターがグッズ化されるんだ。すごく誇らしい気分だ……。 「以上、詳細なスケジュールはメールで送ってある。各自、担当を確認して取り組むように。頼むぞ。大成功させて皆で飲みに行くぞ。もちろん、俺の奢りだ」  ぱちぱち、と会議室に笑い声と拍手が起こる。  それぞれ自分の席に移動する途中で、みも先輩がこそこそと内緒話をするみたいに耳元で囁いてきた。 「ひな。やったじゃん。ブランドキャラクターのデザイン、めっちゃすごい。しかも、あのMilky Wayとコラボだよ? 俺ら、一生の運使い切ったね」  くすくす笑いながら言われて、僕もつられて頬がゆるむ。 「はい。僕たちとっても運がいいです……! 推しとお仕事できるなんて、まさに推し事ですねっ」 「ふふふ」  みも先輩のご機嫌な様子を見て、僕も今にもスキップしそうなくらい浮かれていた。  そんな僕らの様子をひっそり見ていた夕貴部長の視線なんて知らずに。

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