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第37話 キスの先ももっとしたい? (星七視点)

「っ」  まだ慣れないキスの合間の呼吸をして、俺のキスに甘んじる深月のことを見ていたら身体にじんわりとした熱が生まれた。  それは身体全体へ熱を帯び、繋いだ手のひらから互いの熱が溶け合うように混ざっていく。  それがひどく、心地よかった。  母親のお腹の中いるって、こんな安心感なのか?  深月に母性本能をくすぐられているのもわかっているし、お世話したくなるのも常日頃だ。  ちゅ、と口を離した時に響くリップ音。濡れたその音が俺の鼓膜を甘く濡らす。 「大丈夫?」 「……」  くたっとした深月が俺の腕の下で伸びていた。ふにゃふにゃな顔は俺のキスが上手かったからってことにしておこう。  とろん、とした瞳が気持ちよさそうに細められている。さすがにこれ以上待つのは限界だった。 「深月。あのさ」 「……」  ぽっーと俺の顔を見上げている深月に、聞いとかなきゃいけないことがある。 「キスの先ももっとしたい?」 「っ……」  目を丸くして猫みたいに固まる深月。  この反応だと厳しいか……。  俺は少ししんみりした気持ちになりつつも、彼氏のペースには合わせたいと思っていたから笑って抱きしめるくらいにしようってセーブしてたのに。 「……して」 「ん?」 「キスのもっと先も、して」 「!」  やば。  もう無理。  聞くの緊張してたからか、不意に笑いが込み上げてくる。けど、一生懸命意思表示してくれた深月を笑ったりするのは男じゃない。 「いいの? 無理しなくていいんだよ」 「ううん。僕もしたいから……この前みたいにもっと星七くんを感じたい」  この前ってあれか、プライベートシネマデートの時のことか。  深月はああいうのを想像してるのか。 「俺の好きにしていい? 嫌だったら蹴飛ばしても噛んでもいいよ」 「……うん」 「そう。いい子」  髪にキスを落としてから、深月の首筋に頬を埋めた。おそろいのボディーソープのいい匂い。  触れるだけのキスを散らして、深月が息を詰めるのが伝わってくる。  そりゃ、緊張するよね。  お持ち帰りされた翌朝から彼氏に襲われてるんだから。ドキドキもするか。  そう思ったらなんだか俺も柄にもなく照れが出てきそうで、深月の耳たぶに軽く甘噛みを跡した。  ぴくん、と跳ねる小さな身体が今俺の腕の中の囲いにいる。小さな身体なのに、大きな鼓動が触れた肌から伝わってくる。  期待と緊張と好きって気持ちがまっすぐ。  こんなに素直で健気な子、初めてだ。  耳の中に舌を入れて反応を見れば、深月は俺の下で瞼を閉じて感じていた。 「……かわいい」  ぎゅっと握りしめてくる華奢な白い指が目に入った。だから指先にキスをする。 「好きだよ。深月」 「……星七くん。僕も……好き」  その言葉は俺の理性を崩壊させるには容易な一言だった。

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