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第33話 睦がバズって大盛況
「ようこそ。みゃうみゃうカフェへ」
文化祭2日目がスタートして1時間が経った頃、僕はお客さんへの接客に駆り出されていた。
急遽キャストを変更した旨を九重くんが文化祭専用アカウントでお知らせしたところ、質問が相次いだそうだ。
『代わりのキャスト誰ですか? 宣材写真見たいので載せて欲しいです』
というコメントが複数目立った。
そこで九重くんは急遽SNSフォトブースの前に僕を立たせて適当にポーズをとらせて宣材のための写真撮影を行った。
もちろん写真を撮りなれていない僕はぎこちないポーズを連発したが、九重くんが監督のように細かく指示を出して撮影してくれたおかげでなんとか宣材写真をSNSに載せることができた。
すると、僕の写真に1万いいねがつきお客さんがどっと廊下に押し寄せてきたのだ。
「やば。思ったよりバズっちゃったから、守須、頑張れ! 俺も手伝うから」
それは文化祭2日目がスタートする数分前のことだった。
僕の宣材写真がバズったおかげでアカウントの知名度がアップし、他のキャスト目当てのお客さんも増えた。
昨日から連日来てくれる継続ファンの人もいるため、店内はかなり混雑していた。
もともと1時間ワンドリンク・ワンオーダー制としていたが、30分ワンドリンクまたはワンオーダー制と変更せざるをえなかった。
ドリンク・フード担当のBチームと連携をとりつつ、ようやく開始1時間を無事に終えることができた。
「守須! 3番の席に新規のお客さん2名入ったからお冷とお手ふきの提供よろしゅう」
Bチームのリーダーの冴島くんの正確で素早い指示を仰ぎながら、僕は店内を動き回った。慣れないワンピースに足元がすーすーして落ち着かない。
「はいっ」
僕はお冷とお手ふきを載せた白くて丸いトレイを片手に3番の席へ向かう。2人がけの机に女性のお客さんが2人座ってこちらを見つめている。
僕は緊張して背中に変な汗をかきつつも、なるべく笑顔で接客にあたる。
「こ、こんにちは。守須です」
机の上に持ってきたものを置いてからぺこりとお辞儀をする。すると目の前の2人が僕の頭につけているうさ耳をつんつん触ってきた。
「かわいいー。ねえねえ。なんで守須ちゃんはひとりだけうさ耳なの? 他のキャストみんな猫耳なのに」
ぎく、と睦は頬をひくつかせる。こんな質問もあるだろうとあらかじめ西園寺さんから教えてもらった受け答えを実行することにした。
「みゃうみゃうカフェはその名の通り英語で猫ちゃんの鳴き声を表現する言葉なのですが、1匹だけ突然変異でうさぎになっちゃったのが僕なんです……」
上手く言えたかな……?
ちらりと2人の顔を交互に見れば、すぐさま
「なにそれ斬新! 面白い設定だね」
くすくす笑う2人を見て僕はふるふると首を横に振る。
「設定なんかじゃないです。みゃうみゃうカフェの世界ではそうなっているんです」
自分ながら無理な説明とこじつけだなあと目を潤ませて呟くと、2人の女性はすぐさまメニュー表を開いてオーダーを入れてきた。
「わたしはこの『みゃうみゃうオムライス~キャストのお絵描き付き~』と『オレンジジュース』で」
僕はいそいそとスマホのチェック項目にオーダーされたメニューにチェックを入れていく。
「あたしは『めろめろプリン』と『エナジードリンク』をよろしく」
「はい。かしこまりました」
2人のオーダーをとってからその場を去ろうとすると
「「あと守須ちゃんのツーショットチェキ10枚お願いしますっ」」
と2人重ねて追加注文してくれた。
「あ、ありがとうございます。食後にいっぱいお写真撮りましょう……!」
なるべく笑顔で伝えたが緊張すると早口になる癖をここでも発揮してしまい、その場からすたすたと立ち去った。僕が去った後で2人が
「なにあの子超天然記念物。早口なの緊張してるのかな。かわいい」
そんなふうに思われていることなど、僕は知る由もなかった。
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