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第57話 《番外編》彼氏と彼氏の日常(R15)─お菓子でちゅーしよ─
それは玲乃と僕が恋人になってから2週間後の出来事だった。
いつものように2人で玲乃の部屋でごろごろしていると、不意に玲乃がこんな提案をしてきた。
「もう少し睦に甘えたいんだけど」
大きな瞳をうるうるとさせた子犬のような目で玲乃が見つめてくるので、僕は断りきれずに承諾した。
「いいよ」
「やった。じゃあ今から睦は俺の言うことなんでも聞いて」
「何でも?」
目をぱちくりさせていると玲乃がふわっと笑った。
「まずは抱っこ」
「わっ」
玲乃の腕の中に閉じ込められると、心臓がばくばくしてきた。そのまま僕の顎を玲乃の華奢な指が持ち上げ上を向かせる。そのまま口付けを落とされた。
「ふっ……ん」
僕はキスの間の息継ぎが苦手で、酸欠したように顔が紅くなっていくのを感じてしまい狼狽えた。
今、この瞬間も玲乃にキスの特訓を受けている最中だ。数分ほど玲乃からのキスに甘んじているとやっと唇を離してくれた。ぷは、と僕は大きく息を吸う。肩を上下させて呼吸を整えていると玲乃が
「かーわい」
と呟き頭をよしよししてくれた。
「息継ぎ最初より上手くなってきてる。もう少し特訓しようね」
そう言って、つんっと僕の唇を人差し指で軽く押してきた。
「はい。お口あけて」
玲乃からの指示通りに軽く口を開けると、細い棒状の何かが舌に触れた。
「ん?」
「楽しい楽しい特訓頑張ろうね」
玲乃はポキ、と棒状のお菓子を僕の口に入れると反対側をはむ、と口に含んだ。
棒状のお菓子はプレッツェルにホワイトチョコレートがたっぷりかかっている。僕は口の中でホワイトチョコが溶ける熱さを感じながら15センチ先にある玲乃の唇を見つめた。
凛々しい顔が目の前にあり息をするのも躊躇われる。玲乃は僕の腰を抱き寄せるとゆっくり吸い付くようにお菓子を口に含んだ。
ポキ、ポキと軽やかな音を立てながら玲乃のほんのり紅い唇が僕の眼前に迫る。玲乃のブルージュの澄んだ瞳は甘く細められている。その目にじっと見つめられると胸がきゅっとなり、自分の心臓がどくどくと激しく脈打つのを感じて頭がくらりときた。今にも鼻血が垂れそうなくらい恥ずかしい。
「んっ」
思わず声が洩れてしまった。玲乃が僕の身体をベッドに押し倒す。ポキ、ポキと玲乃がお菓子をかじってしまう。いつのまにか僕と玲乃の唇にはあと数センチほどのプレッツェルしか残っていなかった。はむ、と僕の唇ごと玲乃が貪るようにキスをする。僕は口の中でとろけるホワイトチョコで窒息しかけていた。
「おーいし。ごちそうさま」
思う存分好き勝手してきた玲乃がご満悦の笑みを浮かべる。そんな意地悪な玲乃が好きで好きでたまらなくなり、僕はその背中にぎゅうっと手を回す。
「今度は僕がやるから覚悟しててね」
「ほんと? 恥ずかしがり屋の睦にできるのかな?」
玲乃はにこにこ頬を上げて笑うだけ。からかわれているとわかっているのに、嫌な気はしない。
僕はこんなに愛おしい玲乃との時間がずっと続けばいいと心の底から願った。
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