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第60話 《番外編》れのむつナイトルーティーン side玲乃(R15)
「睦ー。ご飯できたよ」
朝の歯磨き事件の夜。ドタバタと忙しない朝のスタートだったが、無事に玲乃と睦の1日が終わろうとしていた。
「まだ拗ねてんの? 歯磨きのイタズラは許してよ」
ダイニングテーブルの椅子に体育座りをして待っている睦は、ほっぺたをぷくうっと膨らませていてハムスターみたいだ。相当拗ねているように見える。玲乃はそんな睦を抱きしめて撫でたい衝動に駆られる。しかしそんなことをしては睦から「玲乃は反省してない!」と思われ信用されなくなるのではと危惧して何もできないでいた。
「だって、朝忙しいのに……それに、上顎やられるの僕弱いのに……」
身体を小刻みにぷるぷる震わせている睦のことが玲乃には小動物にしか見えなくてつい頭を撫でたくなる。玲乃は自制ができずに睦の頭をよしよしと撫でてしまった。
「ごめんね。睦。今度からはしないから。許して」
睦に自分が反省していることが伝わるように肩をしょんぼりと落として謝る。
「……玲乃が反省するならいいよ」
睦は渋々といった顔でむくれ顔を和らげてくれた。
その後、玲乃お手製の特製ドリアとポタージュスープ、クリームチーズをのせたバケットを食べた2人はそれぞれお風呂に入った。先に睦が入り、30分してから玲乃が入れ違いで入った。玲乃は叶うことなら睦とお風呂に入りたいと思っているが、互いの裸を見慣れてしまってはマンネリにもなりかねないと思い自制している。
2人が再度顔を合わせるのは洗面所でドライヤーをする時だ。はじめに玲乃が睦の髪をドライヤーする。その間、睦は歯磨きをして椅子に座り髪が乾くのを待っている。玲乃にとってはこんな何気ない日常のワンシーンに幸せを感じるのだった。好きな人と夜ご飯を食べて、好きな人の髪の毛をドライヤーで乾かす。睦はお利口さんだから髪が乾いたら今度は玲乃の髪をドライヤーで乾かしてくれる。
「ん。おやすみのちゅーは?」
22時を過ぎたところで玲乃のベッドに睦が入ってきた。睦のために空けたスペースにするりと入ってくる。睦は恥じらいながらも玲乃の頬にキスをした。
「えー。頬っぺだけ? ここは?」
「っ」
玲乃は不満そうに眉を垂らすと睦の人差し指をとって自身の唇に押し当てた。そのまま睦の人差し指を口に含む。
「おやすみっ……!」
ふに、とした感触が唇に触れたかと思えば睦は毛布を頭に被って眠ってしまった。
「……ちゃんと口にキスできるじゃん」
胸の中にふつふつとあたたかいものが溢れてきて止まらなかった。その晩、玲乃はいつもより深く眠れた。きっと睦からのおやすみのちゅーのおかげだ。
朝起きたときに1番近くにいる存在が睦であることに安堵して玲乃の目が覚める。
──どうかこのまま。睦はずっと俺の隣に……。
カーテンの隙間から差し込んだ白い朝日が玲乃と睦の頬を照らした。
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