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第8話 ふたり②

その後二人で服を全部脱いで。 お互い、見たことのある筈の裸身を赤くなりながら見つめて。 継信なんか涙を浮かべていた。 「信じられないくらい、嬉しい」 と言って涙をこぼす継信の頭を、光映はその胸に抱きしめて撫でてやった。 二人で抱き合えば、じかに触れ合う身体中がきもちよくて熱くて溶けそうになった。 お互いの陰茎を擦り合い、それだけで達した。 「‥今日は、挿れないけど‥」 そう言って継信は後ろから光映の太腿の間に陰茎を挿し込んで何度も擦った。会陰や陰嚢、陰茎の裏筋まで熱く擦られて、光映は何度も精液を零した。 「つぐ‥も、無理‥」 「光映、好き、好きだよ」 どちらかと言えば細身の身体のくせに、継信は何度も何度も光映の身体を貪った。 「ゆび、だけ、いい?」 そう言って保湿オイルを使い、光映の後孔にもつぷりと指を挿し込んできた。そのとき、継信が一瞬息をのんだ。 「光映‥」 「っ、は、なに?」 「ここ‥」 そう言って後孔の中でくるりと指を回してナカを擦り上げる。ひっ、と声を上げそうになった光映の乳首を、かりっと噛んだ。 「ひあっ、あ、」 「ねえ、なんで‥ここ、こんなにするって入るの‥?」 「え、」 継信を思って玩具で慰めてました、とは言いづらい。口ごもった光映を見て、継信はくっと指を曲げてぐりぐりとナカを刺激した。 「ひい、ああ!あ、つ、ぐ」 「ねえなんで?おれの前に誰かに触らせたの?‥‥さっき、小学校からおれのこと好きだったって言ってたのは嘘?‥ねえ光映」 継信は苛立たしげにそう囁くと、空いている方の手で光映の陰茎を掴み鈴口をぎゅっと押し込んだ。痛みと快感とが入り混じった刺激に光映は嬌声をあげる。 「ひぃ、ぃあ、ち、ちが‥じ、じぶん、で」 「なに?」 次々と与えられる刺激に耐えられなくなって、光映は顔を真っ赤にしながら告白した。 「じぶ、で、した、ぁっ、自分で!」 「自分で、したんだ‥。そっかぁ」 継信はオイルを足しながらもう一本指を入れた。光映の後孔はするりと継信の指を呑み込んだ。二本の指を揃えてぐりぐりとナカを擦り上げられる刺激は脳天を直撃する快楽だった。光映は涙をぼろぼろ流しながら何度も絶頂した。 「もう自分でしないで。全部おれにさせて。光映の身体全部おれにくれよ」 継信は息を荒げながら光映の身体をまさぐってそう囁いた。 光映が何度達したかわからなくなってぐったりしたのを見た時、ようやく継信は光映の身体から離れた。脱力した身体を横たえて目を瞑っている光映の背中を、そっと撫でる。そんな刺激でさえも甘さを生むのか、光映はぴくっと身体を震わせた。 「継信、も、無理だから、触んないでくれ‥」 そう呻く光映に、継信は手を引いて困ったように笑った。 「ごめん、‥‥嬉しくて、ちょっと無茶しちゃったかも」 そう言って光映の頭を撫でた。光映は目を開けて、継信を見た。 「‥‥気持ち、悪くねえの‥?俺のこと‥」 「何で?気持ち悪く思う理由なんかないけど」 光映は継信から目をそらしながら、掛布団をぐいっと引っ張って身体を隠した。 「だって‥こんな、ごついのに、さ‥」 「もう、光映!」 継信は横たわったままの光映の分厚い身体をぎゅっと抱きしめた。 「おれは、光映が好きなんだよ。そのままのいつもの光映が好き。身体が大きくても小さくても、光映だから好きなんだ。‥光映は、おれの身体貧相だから嫌い?」 「そんなわけない!」 継信は光映の顔を見てにこっと笑った。 「そういうことだよ!」 その笑顔を見て、なんだか光映は気恥ずかしくなって顔を隠した。継信がくすくす笑っている声が聞こえる。 顔を見せないようにして何とか起き上がると、脱ぎ捨てていたシャツを継信が手に取って肩にかけてくれた。 「サンキュ‥」 「ん」 そのまま、脱いだ衣服を集めてきて光映に渡し、自分も衣服を身に着け始めた継信の背中を見つめながら光映は声をかけた。 「継信」 「ん、何?」 シャツを羽織って振り返った継信は、光映の顔の表情を見て、眉を寄せた。光映は、とても気持ちが通じ合ったばかりとは思えないような昏い顔をしていた。 「‥俺達‥どうすれば、いいかな‥」 「どう、すれば、って‥なに」 怪訝な顔で継信が問い返す。シャツを羽織ったまま、身動きもせず光映は下を向いている。 「俺‥継信に、好きだって言ってもらえて嬉しい、し、継信のそばにいたいって思う気持ちはあるけど‥付き合ったり、とかは‥できない」 「‥どうして」 すっかり着替え終わった継信は真面目な顔でベッドに腰かけ、光映に向き直った。光映はその気配を感じたが、顔は上げずにそのまま話し続けた。 「さっきも言っただろ。男同士なんて‥未来がねえよ。結婚もできねえし社会にだってまだそこまで受け入れられてるわけでもねえし。‥うちやお前のとこの親になんて言うんだよ。子どもだって持てねえんだぞ、おばさんたちになんて言えばいいかわかんねえし‥」 そう言って頭を抱え込んでしまった光映を、継信は背中からそっと抱きしめた。分厚くてたくましい身体なのに、なんだかひどく弱々しく頼りなく思えた。 「光映、おれは‥光映と一緒にいられたら幸せだよ。それだけじゃダメなのかな?‥男女で付き合ってたって色々あるし、結婚しない人たちだっているじゃん。子どもを持たないっていう人たちもいるし‥何でそんなに思いつめるの?」 そう言って優しく光映の背中を撫でてやる。いつの間にか、光映は少し泣いていたようだった。 「俺‥長男だから、ちゃんと家のこともやれってずっとオヤジに言われてて‥ちゃんといい大学に進学して、いい会社入って結婚して、孫を見せてくれって‥うち女の子いねえから、女の子の孫ほしいとかって‥」 とうとうしゃくりあげて泣き出した光映の頭を、継信はぐっと胸の中に収めてつむじに唇を落とした。そうしながら背中も撫でてやる。 光映は継信の胸に縋ってきて泣きながら言い続けた。 「でも!‥でも、俺は‥昔から女子をそんな風に見れなくて‥いつだってドキドキするのは男に対してだった‥小学校、四年くらいからは、継信にしかドキドキしなかった」 「うん、嬉しいよ、光映」 「でも、でもそういう俺は、「普通」じゃないって、テレビでゲイの話題が出たときオヤジが吐き捨てるように言ったんだ!こいつらまともじゃねえって、人の道に反してるって!」

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