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第2話 とりあえず飯でも……?(2)

「おっかけます?」 「はぁ?」 「いや、間にあわないんだったら、大阪行くしかないでしょ」 「なにいうてんねん」  リュックに手を突っ込んで携帯を取り出す。 「いいじゃないですか、ちょうど秋だし、旅行ですよ」  そう言って検索サイトで「大阪 東京 交通手段」で検索をかけるとすぐ多岐にわたる交通手段が出てくる。  「新幹線、飛行機、電車、車、バス。夜行バスが一番安いみたいです」 「それはそうやろうけど」 「夜行バス乗ったことあります?」 「何回もあるわ」 「俺、ないんです。旅行自体したことなくて」 「うそ」 「ほんとに。子供の頃は家が農家で親は休めなかったし、自分で行ける年になっても行きたい場所がないから、積極的に考えられなくて。した方がいいって、よく言われてたんですけど」  気分転換になると思うし旅行でもしたらと、よくアドバイスされた。決まってそこから自分はどこに行ったと自慢が始まるので、旅行に世の中の人が価値を置いているということだけは知っていた。 「気にはなってたんですけど、気になってるだけっていうか。あっでも、ライブで地方行きましたけどこれって旅行ですか?」 「いや、それは……、なんか名産の飯食べて、どっか観光した?」 「金ないんで、ライブハウスと安いホステルの行き来だけで飯はコンビニですね」 「それは旅行とはいいかねる気がするな……。修学旅行とかもないん?」 「旅行系は中学も高校も行かなかったんです。小学校の遠足は参加したのもあるけど」 「遠足は旅行といえるんやろか……?」 男はとても渋い顔で自問自答している。 「だから大阪なんて旅行にちょうどいいし。どっちも明日休みですよ。ほら、夜行なら往復一万円もいかない」  調べてびっくりした。意外と安い。交通比較サイトには大阪の写真がいくつか載っている。  観光地の写真を見て、行ってみたいと思ったことがない。東京に出ても観光はしなかったので生活圏外の土地はよくわからないくらいだ。旅行したいという気持ちは本当ではあるけど、いいと聞くから経験しておきたいだけで、実際に実行に移すにはエネルギーが足りなかった。このまま結局しないんだろうと思っていたけども。 「いや、行かんやろ」 「俺が一緒でもですか?」 「意味わからんから」 「すごいスパってつっこんでくれますね」 「あっ、そういうボケやったん? つっこんでほしいってこと?」 「ちがいます。旅行したいなって話ですよ」 男に宇宙人と話しているみたいな顔をされた。  よく知らない人間に急に旅行に誘われる。突拍子もなさすぎる。自分で言っていても滑稽だと思う。こんな冗談をいうタイプではまったくないのに、日常に関係ない他人だからか、開放的になっている。

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