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第3話 旅行は準備が楽しい
コンビニ決済は専用の端末で明示されるままにパスワードを入力するとすぐに発券された。もう後には戻れないらしい。
だれかと長時間一緒に過ごすなんていつぐらいぶりだろう、そんな不安もあるのに、券をもつと高揚感に紛れる。
「あんま時間ないな。これで我慢して」
星一さんが肉まんとコロッケをおごってくれたのでコンビニ前で食した。星一さんはまだ胃が不安だからとゼリー飲料を飲んでいる。たまに目撃する駐車場でたむろしての立ち食いを自分がしているのが不思議だった。
食べ終わるとドラッグストアだけ寄らしてと、星一さんが歩き出したのでついて行く。早々に携帯をしまい迷いなく歩いていく星一さんは、さっきメインのバイトは宅配で地図に強いと話していた。
ドラッグストアでは酔い止めを買って、すぐに夜行バスが出る新宿まで向かった。
新宿のバスターミナルはいろんなバスが行き交うようで大きなフロアにはたくさんの人がごった返していた。キャリーバックを持った人も多く旅行に行くという実感がわいてくる。
「めっちゃお腹すいたわ、なんか食べ物買ってきていい?」
「俺も行きます」
酔い止めが効いたのか星一さんの酔いは収まったようで、ここまでの移動も滞りなかったらしい。二人でターミナル内のコンビニに再び寄った。
「食べ物の他、買うもんあるかな? 明日は大阪やで、ほんまびっくりするわ。そういえば東は大阪でどっか行きたいとこあるん?」
「とりあえず、風呂に入りたいですね」
「めっちゃわかるわ。着替えもしたいな」
星一さんは大まじめにうなずいた。
今日は朝からバイトで肉体労働をしていたし、電車も暑く汗ばんでいた。星一さんは酔ってげろってるので俺よりも風呂には入りたいはずだ。
「朝一は風呂で決まりやな。とりあえず下着買っとこ。ほら東も買っとき、おれとおそろ」
「なんでわざわざおそろって言うんですか? めっちゃ嫌なんですけど」
差し出されるコンビニの下着を仕方なく受け取る。
「いいやん、おそろ。明日は大阪で旅行来ましたって感じのださいTシャツおそろで買おな」
「絶対嫌です」
「めっちゃ拒否るやん」
きっぱり強い口調で言うと、星一さんは楽しそうに笑っている。売り言葉に買い言葉というのか、ペースに乗せられて普段では使わないような生意気な口調で返事をしてしまっている。
星一さんは下着といくつものおにぎりを買い、ちょうど消費し終えた頃に、アナウンスが鳴って、バスに乗り込む。
バスは二席がくっついた普通の座席で、男二人が並ぶとまぁまぁ狭い。
「バスって話してもいいんですか?」
「電気ついてる間はいいんちゃうかな。知らんけど」
初めての夜行バスの作法がわからないけど、女の子のこそこそ話が聞こえてきたのでいいらしい。
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