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第4話 夜は内緒話の時間

 荷物は上にあげて椅子についた台にさっきコンビニで買った酒を置いた。 「今日の詫びに一本どうぞ」 「詫びたい気持ちあったん? あんま飲めへんけど、もらっとくわ」 台の上に缶を並べる。ハイボール、ビール、レモンサワー。星一さんはレモンサワーをとった。俺はハイボールを取って、二人で乾杯と缶を傾ける。こころもちそっとプルタブを開けた。 「久しぶりに酒飲んだわ。これ何? 初めて飲んだかも」  初めて飲む酒の割にはすぐ選んで、何のためらいもなく飲んでいる。 「レモンサワーですね。初めてなんですか? わりとメジャーですよ」 「名前は聞いたことあったわ。全然飲まへんから、酒わからんねん。これがレモンサワーか。飲みやすいし、おいしいわ」 「酒のうまさ気づいちゃいましたか?」 「味は普通においしいねん。でもお腹壊しやすいから。すぐ酔うしな」 「なんでもすぐ酔うタイプなんですね」 「ほんまやで」  エンジン音がなってアナウンスが入る。もう一つ乗り合いの場所があるので、そこに向かい、24時に消灯。消灯後は会話や、スマホなどの明かりがあるものは禁止と流れている。 「消灯時間って、修学旅行みたいやな」 「どこ行きました?」 「中学は平和学習で九州やったはず、高校は北海道やった」 「楽しかったですか?」 「そうやな、たぶん楽しかったと思う」 「たぶん?」 「おれ、子ども時代の記憶があんまりないねん。中学は特におぼえてないわ。高校はどこに行ったとかそういうのはわかるけど、具体的な思い出はないな」 「そんなことあります?」 「物心つくのが遅くて、ぼーっとしてる子供やってんな。テレビっ子で漫画が好きで、そういうのをずっと頭の中で反芻してて、現実のことは全然おぼえてないっていう」 「想像力豊かですね」 「女の子やったらかわいいけど、男はきもいやろ」  こそこそと小さい声でつぶやくように話す。学生たちの旅行の夜もこういう風にこそこそ話すのだろうか。 「修学旅行、行かへんかったって、体調不良ってわけじゃない?」 周りに話す人がいないから星一さんの声も一層小さく、肩が当たるぐらいに顔を寄せる。

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