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第8話 幸先の悪いスタート?(2)

「いいって、なに」 「梅田に事務局があっておれ戻るから、東ちょっと観光しておいでよ。ほんまやったら、こっから、大阪城行って本町から難波まで歩こうと思ってんけど、どこでもめぼしいとこで落ち合えるから」 「いや、一緒に行くよ。こんな都会に一人でさまよわせないでよ」 「いまどきマップでどうにかなるやん」 「それだと1人旅じゃん、無理に誰かを誘った意味ない」 「いやでも、合流するで? せっかく初めての旅行やねんから観光した方がええって。知らん人間となにもない来た道もどってもつまらんやろ」 「もう半日一緒にいるんだから知ってる人間だろ」  声を荒げてしまっていた。知らない人間だと自分もその旨味を感じていたはずなのに、言われると腹が立った。星一さんの言っていることは理解できる。俺を思っての言葉だ。でも、俺には旅行を継続させて、自分は旅行先で財布がない中を一人で戻るなんて他人行儀すぎやしないか。 「星一さんの中では今日ずっと知らない人と旅行だった? ガイド気分だった? 旅行なんてどこでもいいって言っただろ。ガイドにしてもちゃんとまっとうしなよ」   どうしてだろう、こんなに怒るなんて。はじめてのことで抑え方がわからない。 「ごめん」 星一さんは俺を思っていて、だからこんなにきつくあたられるいわれはないのにすぐに謝る。そんなすぐに謝られると矛先をどうしていいかわからない。沸いた熱をもったままたじろぐ。 「謝られるほどのことじゃないけど」  勢いをなくした言葉は地面にまごついて、こんなばつが悪いのは子供のころのわがまま以来だ。そうだ俺はいま、置いていかれたくないっていういかにも幼稚なことを言っている。 「地図みるの下手だし、知らない土地で困る」 そんな自分に気づいてはずかしいのに、それでも子供じみた言い訳で子供じみた願望を擁護している。 「じゃあ、一緒にもどろっか」 「初めからそういって」  子供らしく責任転嫁して、自分はこんなに子供だっただろうか。自分が気持ち悪くて自分を立て直したいのに星一さんが何もなかったみたいに来た道を歩き出すから、俺はまたただ誘われるまま横をついて行く。

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