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第13話 新世界はカオス

「ここらへんが新世界」  新世界についていた。だんだんと日が沈んで肌寒い。もっていたアウターを羽織った。徐々に町は人工的な明かりがついて、昼のにぎやかさとは違うにぎやかさがある。昼のにぎやかさは青と黄色がメインだけど、夜は赤だ。そんな情緒深い感想がついて出る。 「なんかすごい観光地になってるわ」  ぶらぶらと歩く。おじさん憩いの居酒屋と、新しい看板の安いを売りにした居酒屋と、遺産的な古いゲーセンと新しい的屋が混在していた。どこの道も狭く、どこの店も主張して、すべてが騒々しい。視覚的にもうるさいけども、たくさんある的屋の音と、どこからか音楽が流れいて、狭い道に人も多いから、聴覚的にもうるさかった。なんばよりもさらにカオスがましている。都会で観光地だけどより下町的だ。 「あれ、この道通った?」 今日、星一さんはほとんど地図を見ずに歩いていた。梅田からなんばからここまでは、知ってる道も多いけど、地図上で見てもわかりやすい道だと教えてもらっていた。ただ、この新世界という観光地は中に入ると狭くうねうねとした道がおおく、見栄えも変わらない。珍しく星一さんがずっと地図を出している。  相方が飲む店の名前は知っているが、場所は知らないみたいで、とおりすぎたらしい。小さい店も多そうなので見逃したのかもしれず引き返す。 「店が見つかったらもう入んの?」 「さすがにまだ早いから。場所だけ先見つけておいて、ちょっとぶらついてから戻ろうか。お腹空いてたら先に夕飯食べるけど?」 「いや、あんまりだけど」 難波でいろいろとつまんだのでお腹は空いていない。そもそもそんなに食べない方だ。 「軽くつまむか? 新世界っていうたら、串カツやけど重いか。やたらホルモンの店もあらから、最近ホルモンがきてるんかな」 「俺、ホルモン食べれない」 「お酒飲む人って、みんなホルモンとか珍味すきと思ってた」 「珍味全般苦手」 「やっぱ、後にしようか」  星一さんの足が止まった。前方の的屋で男が当てたお菓子をもらっていた。それを彼女らしき女に渡している。女は大きなおなかを抱えて嬉しそうに受け取った。  星一さんが180℃回転して、来た道を戻る。 「どうしたの」 「さっきの妊婦のカップルの男、相方やわ」 「まじで?」 芸人仲間と飲みと言う話ではなかったか。彼女を同伴するタイプか。個人的には嫌いなタイプ。 「呼び止めないの?」 「いや、いい。会わないが、おれらの正解なんや」  ただ会うだけなら躊躇することはないのだけど、ただの世間話ではなく、喧嘩して解散後の再会で話がどう転ぶのかわからない。わからないまま妊婦に聞かせるのは引け目があって、無理に会うようには進められない。

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