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第14話 旅も終盤(2)

星一さんはおいしそうに水を飲んでいる。脱力してのんびりとそれこそ気の置けない友人といるみたいに。  安い部屋のなのでほぼベッドで埋まっている。間接照明で明るさが制限されている。  座っている星一さんの目の前に立った。 「星一さん、そんなのんびりして、襲われるとか思わないの」 「めっちゃ思ってる。さすがに。やけど、絶対におれがフィジカルで勝つで」  星一さんは水を置いて、俺を見上げる。  お互いの裸は知っている。身長差はあまりないが、筋肉量、体重からどう見ても星一さんの方が強い。 「星一さんは俺に勝てないと思うよ」  手を取って手の甲にキスしてみた。フィジカルで強くても、この人は押しに弱い。知らない人間の強引な誘いなのに、旅行を引率して、結局会わなかったけど相方に会いに行き、ラブホに入った。  手の甲を拒否されないままにそろりと舐めた。経験は多いから、なし崩しにもっていくようなテクニックもある。タチネコどっちの方がうまくもっていけるだろう。俺は星一さんの童貞がほしいのでネコ希望だけど。 「ほんまにしたいん?」 「したいけど。つねに盛ってるし見境ないって、言ったじゃん。できそうなら攻めるよ。もう旅行も終わりで会わないんだったら、多少強引にいってもあと腐れないし、男だと被害届とかださないでしょ」  指先を噛んでみる。手入れされていない爪が舌にあたった。  星一さんは喜怒哀楽どれでもないフラットな顔で俺を見ている。 「東、ほんまは酒もセックスも嫌いやろ、やのにすんのか?」 「そんなわけないじゃん。好きだよ。今日も酒飲んでたじゃん」 「昨日の夜と朝、一缶づつやろ。それは酔っぱらいたくなかったからで、旅行を楽しみたいと思ったから。酒もセックスも好きなんやろうけど、やりすぎて自制が効かへん自分は嫌いやとおもってる。酒を我慢できたのに、この旅行の最後に、嫌な記憶で終わっていいんか?」  唾液に濡れた手を気にもせず星一さんは俺と話そうとしている。 「意味わからない」 「おれはさ、東にこの旅行を後悔なく終わってほしいねん。生きてたら楽しいことあんねんなって思ってほしい。なんかつらいことあったら健康的に現実逃避しよって思ってほしい」  星一さんは俺の両方の手首をつかんだ。反射的に後ろに下がるけど力が強く引き戻される。 「なぁ、昨日、電車でおれを見つける前、人身事故で止まってる電車でどこに行こうと思ってたん」

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