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第16話 旅行のお楽しみ(2)
「もう一回、お願いできます? 中、いれてほしい」
もうここまできたら、今日、絶対に童貞をいただきたい。責任をとってほしい。
「ゆびとか入れた方がいい?」
「星一さん爪痛いんで駄目です。自分でするから」
何度か爪が俺の皮膚にささっている。ローションをまた開けて指にとった。指先からでないようにしている爪が光っている。
「爪いつも手入れしてるん? モテ男」
「違うから。これはギター弾くのに願掛け的な」
爪は手入れしていた。指の感覚が変わったらいやだから、伸びたことで不備が起きたら嫌だから。
「そっか、えらいな」
酒もセックスも嫌いだ。それに溺れる自分が嫌いだった。音楽も嫌いだ。がんばってもがんばってもうまくいかない。好きなのに、好きだからこそ報われないのがつらかったから。
指の先から出ない爪とつま先に、軽く触れる。いつもの慣れ親しんだてざわりがする。
「べつに、えらくないし」
自分の手のつま先から視線を外した。
指でこれから受け入れるための場所にふれる。
星一さんはじっと陰部を見ている。明かりは絞っているけど見えないほどでない。男のそこなんて萎えないのだろうかとは思ったけども、そんな様子はなかった。
「変態ですね」
「変態やで、はやくはやく」
ずっとふざけている様子に腹がたちながらも、指を飲み込ませなじませる。
「ふっ、っん、ああっ」
なれた行為にすぐに気持ちいいところを見つけて指を増やしてこする。
「やばいわ。爪切ってないの悔やまれる。次会うときはちゃんと切っとくな」
星一さんは俺を見ながら、自分で軽くしこって、立たせている。汗と表情とその手つきはどうしようもなく色欲に支配された男なのに声が明るくはずんでいるから、遊んでいるようだ。楽しくてしかたがなくて。
三本に増えた指を抜くと、星一さんが近づいてきた。
体は久しぶりだけど問題なく準備は出来た。
「もういける?」
俺が返事をいいよどむと、俺のをさわって遊びだした。すぐに男になれた。好奇心が強くて、順応性が高い。調子がいい。たった一日しか一緒にいないから、全然この人のことなんか知らないのに、好きだ。
「好き」
「ん? 俺も」
気軽な返事。星一さんのはたちあがってきついに違いないのに待ってくれている。
「童貞喪失が男の尻で本当にいい?」
「かわいい恋人の体やん」
「恋人とか、うざ」
恋人なんて絶対に柄じゃない。
「ちゃうの? 童貞守ってきたから、初めては恋人にささげたいんやけど」
肉欲にまみれた男の顔だ。終わったらお笑いに戻るのだろう。これは健全な営みだから、間違いない行為だから。
「恋人だから、童貞食べてあげる」
「ありがと」
そういうと星一さんは足をもって、俺のなかに挿入してきた。おっかなびっくりというのか、しずしずとセキュリティをたしかめるように入ってくる。なれてないというのがわかる。
「~~っ。そんな、ゆっくり」
ゆっくりとじょじょにうまってくそれに、なかがうごめいて存在を確かめている。
「あったか。めっちゃぎゅっとされるんやけど、圧と密がすごい」
星一さんは実況しながら腰を進めて、結合部を見ながらふちをなでている。
「童貞なんだから、もっとはしゃいで動きなよ」
「そこはもう三十路やからしっとり味わう系で。やば、全部、収まりそう」
「っふ、ん、あっ、~~あっ」
ゆっくりと奥まで収まったかと思うと身震いされるようにつかれた。ふいに違った刺激に体が喜ぶ。
「うわ、ぎゅっとしてる。これ、持つかな? 一回出しといてよかった~。いれられるがわって、どうすればきもちいい?」
おさまりきったまま太ももや腹を撫でられた。
「動いて、上側押し付けるみたいにすって」
「こう?」
星一さんは指示したとおりに動いてくれる。
ずっと星一さんはしゃべっててムードないなと思ったけど、ずっと俺のことを見てて気にしてるってことだ。代替えの竿じゃなくて星一さんと俺がしている。
「うう、あっ、そう、そのまま」
さっきまでは忍び足の用だったのに、腰を持つと打つように動かれた。もともと体力があって運動はできるのだ。ごりごりと内壁をすられるとあまりにも気持ちいい。
「っ、っふ、あん、ああっ、……そこ、もっと」
「すごいな、なかぎゅうぎゅう。ここ、こう? こっちはほっといていいん?」
そういうと前も触られた。
「あああっ、いく、いきそ、まって、俺だけこんな、星一さんも、きもちよくなって」
あられもなく、気持ちよくなって、やっぱり俺だけ快楽におぼれて、なのに星一さんは理性的で。
「いや、もうやばいから、おれ。すぐにでも暴発しそうやねん。まじで。だから東優先で」
あまりにも真剣だったので、思わず笑った。セックス中に笑うなんて初めてだ。理性的な人だと思っていたけど、そう見えるだけで中身は一緒の欲望だらけだといい。
「きもちいい、からっ、そのまま、いっぱいして」
自分でもひくぐらいにぶりぶりにささやいて、なかをしめつけた。
「ほんま、まじで、やめてくれっ」
星一さんは絞り出すような声をだしながら、俺のなかをついている。
「はっ、ああっ、いく、いく」
星一さんのが奥まできてつかれるたびにきもちいい。全身が甘くしびれて吐精した。星一さんも俺がいったのをみると、ぐっとひときわなかに押し込んで射精した。
「しぼられるわ、きもちええな」
「肉欲におぼれそう?」
「おぼれるかも。二人だけの秘密な」
星一さんは俺の体を味わうようになでる。手つきは卑猥なのに、楽しそうに笑った。
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