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「今回のことは本当に姫宮様に感謝ですよ」
「元はお前の奥方のおかげだろう。私の方こそ礼を言う」
「それはそれは妻に代わり頂戴致します。大変嬉しく思います」
やや深く頭を下げた松下の微笑であった表情が、やがて抑えきれないという笑みを零す。
自身の愛する者を褒められて嬉しくて仕方ないといった気持ちがありありと分かる。
度合いは違うがその気持ちは分からなくもない。
「礼といってはなんだが、奥方に何か贈り物をしたいのだが、欲しいものはあるか」
「大変嬉しく思います。ですが、私の妻よりも姫宮様に贈られた方が良いかと思います。きっと喜ばれますよ」
「それは妙案だな」
「ご自身の服を贈る以外で贈り物を考えるのがよろしいかと」
すかさず言われた候補外を言われ、それもそうだなと思った。
同じものを贈っても味気ないというのもあるが、その後の愛賀の反応もあった。
無事に贈られてきたと安野からメッセージが送られてきたが、肝心の贈った相手から何の返事もなかったのだ。
とはいえ、わざわざこちらから言うのも無粋だろうと思い、そのことはなかったことにし、それ以外のものを考えることにした。
クリスマスの時期は時期なのもあって、それらしい物が売られており、それを贈ることができたが、今回に至っては何をすれば良いのか。
同じ物を贈るのは味気ないとして、こちらもケーキを贈ることは面白みもないだろう。とすると他のお菓子ということか。
お菓子と一口にいってもその種類は多岐に渡る。どの系統のお菓子を贈れば愛賀は喜んでくれるだろうか。
いや、愛賀は自分のために贈られてきたものでも他の者にもあげる節がある。だとしたら、いわゆるお菓子の詰め合わせなるものにすれば良いのか。
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